全国のキリスト教主義病院が参加する日本キリスト教病院協会(JCHA、宮城航一会長)が3日、設立後初の総会をオンラインで開いた。JCHAの創設を提唱し、アジアと日本のキリスト教主義病院の連携と発展に寄与した淀川キリスト教病院(大阪市)名誉院長の白方誠彌(せいや)氏を名誉会長とすることを決め、11月13日に開催されるアジアキリスト教病院協会(ACHA)総会への参加を全国のキリスト教主義病院に呼び掛けることなどを確認した。
会員の淀川キリスト教病院(大阪市)、オリブ山病院(那覇市)、衣笠病院(横須賀市)、ヴォーリズ記念病院(滋賀県近江八幡市)、神戸アドベンチスト病院(神戸市)、賛育会病院(東京都墨田区)に加え、オブザーバーとして救世軍清瀬病院(東京都清瀬市)からそれぞれ代表者が参加した。開会礼拝では、衣笠病院チャプレンの大野高志牧師が、ヘブライ人への手紙11章1〜4節を本文に「見えないことによって、たしかにつながる」と題してメッセージ。田頭真一副会長(オリブ山病院理事長)が「アジアにおけるキリスト教病院の使命」と題して講演し、参加病院がそれぞれの近況と課題、今後の取り組みについて発表した。
総会では、2023年度以降に日本でACHAの総会開催が検討されていることについて、開催実現に向けての対応を協議。今後のJCHAの事業として、会員病院間の人事交流や、各病院が主催する研修プログラムなどへの参加を呼び掛け合うなどの具体案について意見を交わした。
宮城会長は本紙に次のように述べた。
「私たちクリスチャン医療従事者は、全人的医療をもって隣人に仕えることを召命としており、隣人愛を信仰的な業であると思っています。そして、キリスト教病院は隣人愛について証しする組織体です。各スタッフは直接的に神様に呼び出され、私たちの病院に証しすべく遣わされています。
ところが、全人医療を標榜しても保険診療制度の枠組みで効率性が要求され、キリスト教病院は今や隣人愛の場を機能させるため、病院を維持することが難しい部分があります。
キリスト教病院の存在意義は何でしょうか。霊的ケアがキリスト教病院の特色とすれば、患者の霊的痛みに感性を持つクリスチャンスタッフが必要です。日本のキリスト教病院スタッフに占めるクリスチャンの割合が減少し、病院によっては経営的に困難なところもあります。キリスト教病院は日本の医療を牽引してきた歴史がありますが、公的病院は公的バックアップを受け、キリスト教病院をしのぐようになりました。公的バックアップのないキリスト教病院は利益を上げることが難しく、高額医療機器を備えることも容易でない状況です。
この度、日本でキリスト教主義を標榜している6つの病院がJCHAを組織して、それぞれの病院の信仰的な事柄、経営上の課題について語り合い、相互支援ができるようスタートさせました。かつてキリスト教主義病院として良い働きをし、その維持に困難をきたしている病院があるとすれば、JCHAに入会していただき、信仰の故に主にある兄弟の病院のお手伝いもできればと思っています」