パレスチナ自治区ガザ地区を実行支配するイスラム組織「ハマス」が7日、イスラエルに対して大規模攻撃を行い、民間人を含む多数の犠牲者が出たことを受け、教会指導者らは声明やコメントを発表し、暴力の即時停止を求めた。
エルサレム総主教教会長会
エルサレムのエキュメニカルなキリスト教指導者組織「エルサレム総主教教会長会」は、同日発表した声明(英語)で、「紛争が続くことによる壊滅的な結果」を嘆きつつ、聖地(イスラエル・パレスチナ地域)の人々と「連帯する」として、次のように述べた。
「イエス・キリストの教えを土台とするわれわれの信仰は、パレスチナ人とイスラエル人の双方に害をもたらすあらゆる暴力的・軍事的行為の停止を提唱するよう、われわれに強いるものである」
また、聖地の「ステイタス・クオ(現状維持)」を尊重し、永続的な解決策を見いだすための対話に入ることを双方に訴えた。
さらに、民間人を標的にしたいかなる行為も「明確に非難する」と表明。国際社会に対しては、「全ての人の平等な権利と国際的な正当性に基づき、聖地における公正で永続的な平和を実現するための努力を倍加するよう」求めた。
「全ての関係者が、暴力の即時停止を求めるこの呼びかけに耳を傾けることを切に望み、祈る。われわれは、政治指導者と当局が誠実な対話を行い、あまりにも長い間、紛争の重荷に耐えてきたこの土地の人々のために、正義と平和、和解を促進する、永続的な解決策を模索することを切望する」
「『神は無秩序の神ではなく、平和の神だからです』(1コリント14:33)という使徒パウロの言葉を思い起こそうではないか。この神のメッセージの精神に則り、われわれは全ての人に、暴力の終結と、聖地が全ての人にとって希望と信仰と愛の光となるような、公正で永続的な平和の確立に向け、たゆまぬ努力をすることを求める」
ラテン典礼エルサレム総大司教庁
カトリック教会のラテン典礼エルサレム総大司教庁は、今回の暴力がこの地域を「歴史上最悪の時期に逆戻り」させ、「さらなる憎しみと分裂を生み出し、安定の展望をますます破壊するだろう」と警告した。
国際社会の指導者と宗教界の指導者に対しては、「状況を緩和し、平穏を取り戻し、この地域の人々の基本的な権利を保障するため、あらゆる努力をするよう」呼びかけた。
「宗教的な施設や礼拝所の状況を巡る一方的な宣言は、宗教的感情を揺さぶり、憎しみや過激主義をさらに助長する。従って、聖地、特にエルサレムの神聖な場所のステイタス・クオが重要である」
「打ち続く流血と宣戦布告は、正義と平和と人々の和解の地と呼ばれるこの地において、パレスチナとイスラエルの紛争に永続的かつ包括的な解決策を見いだすことが緊急に必要であることを、改めてわれわれに思い起こさせる。われわれは、エルサレムが全ての人のための祈りの家となるために、世界の指導者たちが奮い立ち、平和と和解の実現のために介入するよう神に求める」
英国国教会
英国国教会(聖公会)の主席聖職者であるカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーと、次席聖職者であるヨーク大主教スティーブン・コットレルは、イスラエルとガザ地区における暴力に「悲嘆に暮れ、深く懸念している」と言い、「ハマスによる攻撃を明確に非難する」と述べた。そして、喪に服している人々や負傷者、身の危険を感じている人々のために祈っているとし、次のように述べた。
「われわれは、全ての立場の人の自制と、全ての人のための公正な平和に向けた、新しい努力のために祈る。イスラエルとその国民は国際的に承認された国境の中で安全に暮らすことができ、パレスチナ人は自分たちの国家を持ち、安全と平和、正義のうちに自分たちの土地で暮らすことができる——そのような安全な未来への信頼を双方が築き上げることこそが、われわれの行く道でなければならない」
コプト正教会
コプト正教会のロンドン大主教アンバ・アンジェロスは、平和と癒やしのために祈っていると言い、「イスラエルとガザ地区における昨日の攻撃と反撃に関する広範な報道や論説、分析の中にあって、われわれは両陣営の数百人もの死者、数千人もの恐怖に怯える遺族という、今日の現実的な犠牲を見失うことはできない」と述べた。
カトリック教会
英イングランド・ウェールズ・カトリック司教協議会会長のビンセント・ニコルス枢機卿は、紛争が「速やかに終結する」ように祈ることを求め、「暴力は決して解決策にはなりません。報復は決して平和には貢献しません。どうか今日、平和のために祈ってください」と呼びかけた。