米国はイスラエル建国70年を迎えた14日、同国第2の都市テルアビブにあった米大使館を、昨年12月に首都と認定したエルサレムに移転した。移転は当初、来年中を予定していたが、大幅に前倒しされ、エルサレムのアルノナ地区にある米領事施設が暫定的に大使館として使われる。
一方、東エルサレムを首都とする国家樹立を目指すパレスチナ自治政府は猛反発。イスラエルのハアレツ紙(英語)によると、イスラエルとガザ地区の境界付近では約4万人のデモ隊とイスラエル軍が衝突し、これまでに41人が死亡、2200人以上が負傷した。
時事通信によると、この日行われた記念式典に米国側からは、ドナルド・トランプ米大統領の長女イバンカ・トランプ大統領補佐官と夫のシャレッド・クシュナー大統領上級顧問、ジョン・サリバン国務副長官、スティーブン・ムニューシン財務長官らが出席。イスラエル側からはベンヤミン・ネタニヤフ首相をはじめ政府高官らが出席した。トランプ氏はビデオメッセージを寄せ、「米国は永続的な和平合意を促すため全力を尽くし続ける」と述べた。
エルサレム・ポスト紙(英語)によると、ネタニヤフ首相は「何と素晴らしい日だ。この瞬間を覚えよ」と述べ、移転を大歓迎。トランプ氏に対しては「あなたは歴史を作った。われわれは皆、深く感動した」と賛辞を送った。
一方、ロイター通信(英語)によると、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長の報道官であるナビル・アブ・ルデイナ氏は、「これにより、米政府は和平プロセスの役割を自ら放棄し、世界とパレスチナ国民、またアラブ諸国、イスラム諸国を侮辱するとともに、扇動と情勢不安をもたらした」と批判した。