イスラエル政府は、ガザ地区に住むパレスチナ人キリスト教徒約850人に、イースターのためにエルサレムを訪問する許可を与えた。パレスチナの通信社「マーン通信」は、「(パレスチナ自治政府民政省の報道官)ムハンマド・アル=マカダマ氏は、キリスト教徒が45日の期間中に祝日を祝うことができるようにするための、フセイン・アル=シェイク民政大臣の『献身的な努力』の結果、許可が得られたと語った」と報じた。
「ガザからこれほど多くのキリスト教徒がヨルダン川西岸地区やエルサレムに旅行する許可を得られたのは、今回が初めてです」とアル=マカダマ報道官は19日、マーン通信に述べた。
数年にわたり、イスラエルはユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒の祝日におけるエルサレム訪問を監視してきたことで論議を呼んできた。英国に拠点を置く「カトリック・ヘラルド」は21日、イスラエル当局は意図的にキリスト教徒のエルサレムへの往来を規制しているとの記事を掲載した。カトリック・ヘラルドは、当局が聖墳墓教会などの遺跡への流入を完全には許していないとするエルサレム・インターチャーチ・センター事務局長、ユーセフ・ダヘル氏の発言を引用した。
「ここ2年以上、ユダヤ教の過越の祭りとイースターの休日が重なっており、ユダヤ教徒が制限なく完全に自由に旧市街に入り行動できるのに対し、受難日を祝うキリスト教徒の行動や正教会の聖火の奇跡は障害物によって規制されているとダヘル氏は指摘した」とヘラルドは報じた。
記者会見で、エルサレムのラテン・カトリックの教区主任司祭ジャマル・カデル氏は、最近の許可数の増加と過去数年間を比較した。「以前は、(ガザのクリスチャンへの)許可はランダムに与えられており、もし家族全員に対する許可がなければ来ることができません。家族をおいてエルサレムに祝いに来る人を想像できますか? それは私たちの伝統ではありません。私たちは共に祝うのです」
オープン・ドアーズによると、パレスチナ地域に住むキリスト教徒は、その宗教的権利について「複雑な」状況に置かれているという。「キリスト教徒は、その民族性によってイスラエル側から多くの制限を受け、その宗教でパレスチナ人のコミュニティーの中で少数派でいざるを得ません。そのため、イスラエルとパレスチナとの対立で押しつぶされています。西岸地区を統治するファタハは、公式には世俗主義を元としており、キリスト教徒は一部の権利を享受しています。しかしキリスト教徒はイスラム過激派ハマスによって虐待されており、ガザではキリスト教徒の権利は尊重されても保護されてもいません。そのような差別だけではなく、キリスト教徒は急進的イスラム自警団からの脅迫にも直面しています」