現存する最古のヘブライ語聖書であり、一部の専門家からは全ての旧約聖書の底本と見られているアレッポ写本が、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)から世界の重要な遺産として認定された。
I24ニュースは、ユネスコが今月、この千年前の写本を、人類の歴史に関する最も重要な発見に該当する記憶遺産として登録したことを報じた。
写本を所蔵している、エルサレムにあるイスラエル博物館死海文書館のアドルフォ・ロイトマン館長は、現在の旧約聖書の全ての版が、「この古代の写本から」派生したと述べ、その重要性を語った。
アレッポ写本は930年ごろ、ガリラヤ湖畔にあるティベリアの町で書かれたものと考えられている。写本はこれまでに数カ所の都市にわたり、その間に現存する版から約190ページ分が失われたが、いつ、どこで失われたかは研究者の間でも意見の一致を見ていない。
1958年にシリアからイスラエルに密輸され、1980年代半ばに現在のイスラエル博物館に寄贈された。以前に誰が写本を所有していたかも明らかにはなっていないが、写本についてのドキュメンタリーの撮影を計画している映画監督のアヴィ・ダバク氏は、この写本をシリアに逃れたユダヤ人の共同体が所有していたと考えている。
「1960年代、アレッポのユダヤ人共同体は、この写本をイスラエルに持ち出した人々を告訴しました。・・・イスラエル当局はこれを押収することを決め、権力をもって共同体に示談を押し付けたのです」とダバク氏。
アレッポ写本はヘブライ語の旧約聖書の最古のものだと考えられているが、2千年前の死海写本など、さらに古い聖書の断片も現存する。
ヘブライ語、アラム語、ギリシャ語で書かれた文書群は、紀元前3世紀から1世紀のものと見られ、キリスト教の誕生に関する旧約聖書の記事を含んでいる。これらの写本は紀元前68年ごろ、ローマ軍の侵攻から守るために、死海の海岸にある洞窟内に隠されたものと見られている。
2011年9月、イスラエル国立博物館とグーグル社の協力によって、これまで少数の学者しか見ることのできなかった死海文書が、インターネット上でも読めるようになった。