英バーミンガム大学が今年初めに発見して話題となった、1370年前のものとされる世界最古のコーランに関する最新の研究から、一部の学者は、その内容が、フスタートにあるエジプト最古のモスクのために編さんされたものだと見ている。
ムハンマド・ビン・ラシド・マクトム財団のジャマル・ビン・フワレイブ専務は23日、BBCニュースに対して、「これはイスラム教世界にとって、これまでで最も重要な発見です」と語った。フワレイブ氏をはじめとする研究者は現在、この本がイスラム教の預言者ムハンマドの教友アブ・バクルが、アムル・イブン・アル=アス・モスクのために編さんを委託したものだとする証拠があると主張している。
BBCの報道では、バーミンガム大学が所有する写本は、かつてアムル・イブン・アル=アス・モスクに保管されていたとみられ、現在フランス国立図書館が所有するコーランの断章と同定できたという。
しかし、バーミンガム大学の所持する断章が正確にいつのものかについては、まだ議論が行われており、中には、この写本がムハンマドがイスラム教を創設するより前に書かれたと考える学者もいる。
オックスフォード大学ボドリアン図書館のキース・スモール氏は8月、「この発見によって、コーランの出自について、もっと細部まで見ることができるようになります。例えば、ムハンマドと初期の支持者は、ムハンマドが天から受けた黙示ではなく、むしろ既に存在した文章を使い、自分たちの政治的・神学的論理に合うように変えたのではないかとの見解もあります」と述べていた。
しかし、ロンドン大学東洋アフリカ学部のムスタファ・シャー氏は異なる見方をしている。「いずれにせよ、その写本によって、コーランの起源についての確固たる伝統的な定説が裏付けられます」と述べた。
放射性炭素の利用実験から、この写本が作られた時期は、568年から645年のどこかだろうと推測されたが、これがまた新たな疑問を生み、議論の材料となっている。というのは、ムハンマドの死は632年と記録されているからだ。
バーミンガム大学のキリスト教・イスラム教学者、デイビッド・トーマス教授は、この最古のコーランを書いた者は、預言者ムハンマドを知っていたと推測した。
写本を調査するためにバーミンガムを訪問したフワレイブ氏も、アブ・バクルが、この断章の元となるコーランの編さんを委託したと考えている。
「このバージョン、このコレクション、この写本は、イスラム教の根源で、コーランの根源です」とフワレイブ氏。「これは、イスラム研究における革命です」
フワレイブ氏は、イスラム教国ではなく英国の研究者が、「非常に価値の高い写本」を発見したという事実が、宗教間の寛容を呼び掛けているサインではないかと述べた。
「私たちは互いを尊敬し合い、共に働く必要があります。対立は不要です」
トーマス氏は、議論と調査はまだ続くが、写本が書かれた時期を細かく特定するため、研究者たちはさらに研究を続けると語った。