キリスト教徒にとって、イエス・キリストがどのような姿だったかは謎だ。新約聖書にはイエス・キリストの外観について詳細な記述がなく、彼を描いた絵画なども発見されていない。結果として、キリストは時代の変化、文化の違いに伴い、人々によってさまざまな外観で表現されている。
幸いにも、このイエス・キリストの姿という疑問に対し、科学が最終的に答えを見つけたかもしれない。
法医人類学という新しい研究分野の助けを借りて、英国の研究者がイスラエルの考古学者とチームを組み、歴史上最も適切と考えられるイエス・キリストの顔を発表した。
研究者たちは、どれほど正確にこの偉業を成し遂げたのだろうか。エスクワイア誌のウェブサイトに掲載された記事に詳細が書かれている。
マタイによる福音書の記述によると、ゲッセマネの園でイエスが逮捕されたとき、弟子たちとイエスを見分けるのが難しかったという。そのことから、研究者たちは、キリストがその当時のガリラヤのセム族に典型的な外観をしていただろうと推定した。
このことを念頭に置き、調査チームは、イエスが生活し宣教していたエルサレムから、保存状態のいい頭蓋骨を3体入手した。
イングランドのマンチェスター大学所属のメディカルアーティスト、リチャード・ニーブ氏が頭蓋骨の評価を担当した。ニーブ氏のチームは、特殊なコンピュータープログラムを用いて、頭蓋骨の上に筋肉と皮膚を再構築した。
しかし頭蓋骨からは、イエスの外観の鍵となる情報のうち2つ、頭髪と肌の色を得ることができなかった。頭髪と肌の色を決定するために、研究者たちはイスラエルのさまざまな考古学的遺構で見つかった絵画を分析した。
最終的に研究チームは、イエスが黒い瞳を持ち、ユダヤの伝統に従ってあごひげを蓄えていたと結論づけた。
イエスの髪の長さについて、研究者はストレートの長髪という一般的なイメージとは違う見方を示した。代わりに、聖書の分析に基づき、強いカールのかかった短髪だったと推測した。