パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」は7日、イスラエルに3千発を超えるロケット弾を撃ち込む大規模攻撃を行った。イスラエル南部では、ハマスの戦闘員数百人が侵入し、兵士や民間人を殺害。多数の人質をガザ地区へ連行した。世界教会協議会(WCC)は、これらの攻撃を「冷酷な暴力」として、直ちに停止するよう求める緊急の呼びかけを行った。
英公共放送BBC(日本語版)によると、ガザ地区の近くで開かれていた音楽フェスティバルの会場では、ハマスの戦闘員により殺害されたとみられる250人の遺体が見つかった。イスラエル国防軍の8日午後の発表によると、イスラエルでは7日の攻撃以来、700人以上が死亡、2150人が負傷した。また、米国、フランス、ウクライナ、タイの各国は、今回の攻撃により、イスラエルに滞在していた自国民が死亡したことを明らかにしている。
一方、イスラエルは空爆による報復攻撃を始め、ハマスのラジオ局が入居する11階建てのビルを破壊するなどした。パレスチナ当局によると、これまでに413人が死亡、2300人が負傷した。イスラエル、ガザ地区双方の死者は既に1100人を超え、負傷者は4400人を超える事態になっている。
こうした事態を受け、WCCのジェリー・ピレー総幹事は7日、「WCCは、この冷酷な暴力の即時停止を緊急に訴え、ハマスは攻撃を停止し、この状況の緩和を両当事者に求める」とするコメント(英語)を発表した。
ピレー総幹事は、「われわれは、イスラエルとパレスチナの武装集団の間で紛争が激化する危険が差し迫っていること、そしてヨルダン川西岸地区とエルサレムで緊張と暴力がエスカレートした結果、イスラエル人とパレスチナ人を問わず、この地域の人々にとって悲劇的な結末が避けられないことを深く懸念している」と表明。「現在の攻撃はさらなる暴力をもたらすだけであり、平和への道も正義への道も提供することはできない」と述べた。
その上で、WCCの加盟教会に対し、「キリスト誕生の地における公正に基づいた平和のために祈り、暴力の影響を受け、脅かされている全ての人々と連帯することを強く求めます」と呼びかけた。