人は度々、全てを失う中で神を見いだすことがある。ウクライナのオレシャがまさにそうだった。
オデッサで生まれたオレシャは、そこで育った数年間に、神について聞いたことはあった。「私は神のことを真剣に考えたことはありませんでした。神が本当に存在するのかどうかも分からなかったし、神についてもっと知りたいとも思いませんでした。自分の人生に何が必要なのかは、誰よりも自分がよく知っていると思っていました」
オレシャがオデッサの大学で学び始めたとき、彼女は、自分の夢は実現すると確信していた。彼女の夢は、成功的なキャリアを積み、素敵な男性と出会い、成功的な結婚をして、幸せな家庭生活を送ることだった。そしてそれらは全て手に入ると信じて疑わなかった。やがて、彼女は運命の人ダニーロに出会った。
「彼はハンサムで、すでに弁護士として仕事をしていました。私たちは同棲を始め、結婚の計画を立てていました。私たちの生活は完璧でした」
ウクライナで戦争が始まったのは、彼らの未来には何の妨げもないと信じていたその時だった。ダニーロはオレシャの身を案じ、叔母と共に国を出るように説得した。「ウクライナから避難する何千人もの女性や子どもたちと共に、叔母と私もモルドバに脱出しました。戦争はすぐに終わり、間もなく故郷に帰れると信じていたのです」
何十人もの人々が国境で難民たちを出迎え、モルドバのさまざまな受け入れ先に連れて行った。オレシャは、これらのボランティアの多くがイエスの信者であることを知らなかった。
「私たちは、12人の女性と子どもたちのグループになり、モルドバの中心にある村にたどり着きました。私たちの言葉を話せる人は数人だけでした。彼らは私たちを教会の建物に連れて行きましたが、彼らの宗教がどのようなものか分からなかったので、ただただ不安と恐れがありました。しかし彼らは、とても親身になって私たちの世話をしてくれたのです。それですぐに、彼らは私たちと同じ普通の人々であることが分かりました」
ロシア語を話せる人たちは、避難民が理解することを願って福音を伝えた。オレシャたちが教会で使えるように、シャワールームを作り、洗濯機を設置してくれた人もいた。
「数日後、地元の信者たちがバイブルスタディーの本を持ってきてくれました。神は、私たちに何を語っておられるのか、私たちは知りたいと思いました」
夜になると、女性たちは集まり、聖書を読んで学んだ。オレシャは聖書に書かれていることを理解し始めた。彼女は学んだことについて真剣に考え、信仰を深めていった。
「しばらくして、私はある決心をしました。結婚していないボーイフレンドと一緒に暮らしていたことを悔い改め、神に赦(ゆる)しを願いました。私は神の言葉を真理として受け入れました。イエスを信じて従うことは、単なる伝統ではなく、日常生活で実践することだと気付きました。彼と電話で話すときは、イエス様のことを話しています。彼と私たちの将来のために祈っています。神様が私の心を変えてくださったように、彼の心も変えてくださると信じています」
戦禍は、破壊と悲惨をもたらしたが、この若い女性には、自分の人生を振り返って神に立ち返る機会となったのだ。戦争という非日常を通して、人々が真剣に生きることや死ぬことを考え、永遠の世界に目が開かれている。神がウクライナでますます働かれるように祈っていただきたい。
■ ウクライナの宗教人口
正教 61・2%
プロテスタント 5・8%
カトリック 10・1%
無神論 19・5%