米宣教団体のミッション・クライは、パキスタンで4人の伝道者と共に聖書やキリスト教冊子を配布している。ところが約半年前、聖書を配布していた伝道者の一人スリム司教が残忍な攻撃を受けたのだ。彼は、ウサマ・ビンラディンのかつての隠れ家のある地域で、2千冊の聖書を配るプロジェクトにも参加したことがある。
ある日彼は、祈祷会を終えて出てきたところ、オートバイのタクシーを拾った。彼は運転手のパキスタン人に伝道を始めた。「私たちは聖書を配っています。私はキリスト教徒です。イエス・キリストこそ天の父に至る唯一の道なんです」
そう伝えると、この運転手は、その時にはスリムが語るのを遮らず、嫌がるそぶりもなかった。ところが運転手は、人気のない脇道に入ると、スリムを道から追い出し、彼の両腕、手首、両手をひどく骨折させ「二度と聖書なんて配るんじゃない!」と吐き捨てた。
この男はさらに追い打ちをかけ、レイプをでっち上げてスリムを訴えようとした。パキスタンでは、キリスト教徒や牧師が男性をレイプしたと訴えると、40年の禁固刑に処されるのだ。女性へのレイプが有罪となると35年の懲役となる。しかし、スリムがひどい暴力被害を受けていたために、これは明らかに事実ではないことが判明し、スリムは濡れ衣を晴らすことができた。
スリムは事件後、すぐに緊急手術を受け、手首と腕に6カ月間ギブスをつけていた。しかしそれは今では外され、医者は驚いて、奇跡的な回復の早さだと言っている。
こんなにひどい目に遭いながらも、スリムは事件後すぐに「けがが良くなり、手や腕が動くまで回復したら、また神の御言葉の配布に戻ります」と言っていた。そして今彼は、元通りに回復しつつある。そして他の3人のチームメイトと共に、再び神の言葉を伝える仕事に戻る準備ができているというのだ。
イスラム教国のパキスタンは、国民約2億4千万人のうち、福音派はわずか1・04%で、実際には人口の99%に福音が全く伝えられていないという。
スリム司教の完全回復を祈ろう。彼が暴力被害に遭ったように、伝道するキリスト者やイスラムからの改宗者は特に標的とされやすい。これらの人々の守りとともに、より多くの失われた人々に聖書が届くよう、祈っていただきたい。
■ パキスタンの宗教人口
イスラム 95・8%
プロテスタント 1・8%
カトリック 0・8%
ヒンズー 1・8%