スイスの連邦統計局が、この6月に発表した最新の統計によると、無宗教者がスイスで最大のグループになりつつあることが分かった。この最新報告は、2021年の最終数値に基づいている。
プロテスタントの改革者ジャン・カルバンとフリドリヒ・ツヴィングリの国で「非宗教者」の数が過去最高を記録したことになる。
特定の宗教を信じていないスイス人は現在、人口の32・3%を占めている。1970年には、無宗教と答えた人はわずか1・2%に過ぎなかった。それが2000年には11・4%に達し、今ではその数字が3倍に跳ね上がっている。無宗教者が急激に増えていることが分かる。
これらの人々のうち、38%が無神論者で、5分の1以上が不可知論者だ。それでも、無宗教者の30%は、何らかの卓越した力が存在することは信じていると答えている。
統計によると、ローマ・カトリックと自認する人は、2010年(38・6%)から2021年(32・9%)までに5・7ポイント減少したことが分かった。一方、プロテスタントまたは改革派と自認する人は6・9ポイント減少しており(2010年28・0%から2021年21・1%)、その減少傾向が最も著しいことが明らかになった。
歴史的な教会に属するスイス人の多くは、信仰を実践していない。改革派信者の約40%、カトリックの約30%が祈りをささげないと答えている。そして改革派信者の半数は、年に5回以下しか教会の礼拝に出席せず、カトリックでは、1、2カ月に1回の頻度の出席だ。
一方、統計局の報告書では、福音主義キリスト教徒は活発なのが分かった。福音派の正確な割合を算出するのは容易ではないが、概ね5%以下と思われる。0・5%の新敬虔主義的または福音主義的会衆、0・4%のペンテコステとその他のカリスマ的会衆、0・2%の使徒的会衆、1・1%のその他の福音改革派教会、0・3%のそのどれにも属さないキリスト教会衆などが含まれる。
信仰の実践に関して、福音主義の場合、93%が唯一の神を信じており(改革派信者の場合40%)、30%が一日に数回祈り、54%がほとんど毎日祈っていると答えた。また福音主義者の礼拝への出席率は、宗教を持つ人々の中で最も高い。彼らの68%が、少なくとも週に一度は礼拝に出席していると報告書は述べている。
調査では、約半数のスイス人が、死後の生命や、特定の人には癒やしや透視の能力があると信じていることが示された。また、約10人に2人が輪廻転生を信じ、死者と接触することができると考えているという。
半数以上(53%)が「宗教あるいは霊的なものが、人生の困難な局面で、どちらかといえば、あるいは非常に重要な役割を果たしている」と考えている。
調査では「15歳以上の人口の40%が、宗教または霊的なものは環境に対する姿勢において重要であり、42%が子どもを育てる上で重要である」と結論づけている。
近年、多数派の改革派とローマ・カトリックの落ち込みが激しいが、人々の霊的なニーズは形骸化した「宗教」ではなく「本物」を求めていることの現れなのだろう。その霊的ニーズは、人口の30%を超えている無宗教者のグループにもある。新生した者たちが生ける神を礼拝する福音派が、宗教者無宗教者を問わず、そのような霊的ニーズを持つスイス人に届くことが期待される。
福音主義の大きな源流の一つ、改革派のふるさとであるスイスの霊的目覚めのために祈っていただきたい。
■ スイスの宗教人口
プロテスタント 25・4%
カトリック 32・9%
英国教会 0・2%
正教関係 2・6%
イスラム 5・5%
無神論 32・3%