衆議院法務委員会は28日、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党の4党による賛成多数で出入国管理・難民認定法(入管難民法)改定案を可決した。これにより、改定案は5月上旬にも衆議院本会議で可決し、参議院に送られる見通しとなった。
改定案は2年前にも国会に提出されたが、入管施設に収容されていたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件の影響で廃案に。今国会に提出された改定案は、一部修正が行われたものの、当時の骨格がそのまま維持されている。
入管体制の抜本改革を求める要請文を岸田文雄首相に提出するなどしてきた日本キリスト教協議会(NCC)は同日、吉高叶(かのう)議長と金性済(キム・ソンジェ)総幹事の連名で、改定案に反対・抗議する声明「この国が歓待と友愛のあふれる地となるために」を発表。2年前に廃案となった改定案を再び成立させようとする政府の姿勢を、「なりふり構わない在日外国人に対する排外行政」だと批判した。
改定案には、難民申請中でも3回目以降の申請者については「相当の理由」を示さない限り送還可能とする内容や、オーバーステイなどで退去強制(国外退去)を命じられた外国人について、入管施設に収容することなく、親族や支援者を「監理人」とすることで、送還までその監督下で生活させる監理措置制度の新設などが盛り込まれている。
声明は、難民申請中でも申請回数によっては強制送還できるとする例外規定の問題性を指摘。難民申請者を命の危険の及ぶ本国に返してはならないとする難民条約の「ノン・ルフールマン原則」を無視するものだと批判した。
また、監理措置制度については、仮放免者に対する監視体制に民間人を巻き込むことを意味するものだと指摘。「民間人をして在日外国人を警戒すべき存在として監視させる仕組み」「市民社会に在日外国人警戒感情を無意識的にも助長させていく危険をはらんだ制度」と警鐘を鳴らした。その上で、「市民がなすべきこととは、監視ではなく、就労の機会と周囲の温かい支援と協力」と訴えた。
改定案を巡っては、マイノリティ宣教センターの運営委員会も27日、反対声明を発表。改定案を今国会へ提出することが閣議決定された3月には、日本カトリック難民移住移動者委員会を含む7団体が、抗議声明を発表していた。