日本キリスト教協議会(NCC)は19日、岸田文雄首相に対し、入管体制の抜本改革を求める要請文を提出した。
要請文は初め、ロシアのウクライナ侵攻開始から1週間で、岸田首相が国外避難するウクライナ人の受け入れを決定し、4月30日時点で820人(5月14日時点で979人)を国内に受け入れてきたことに言及。「このような政府の人道的対応は高く評価されます」とした。
一方、難民条約で定められた「難民」は「戦争や紛争から逃れた人は含まない」という立場を維持する政府は、国外避難するウクライナ人を「難民」ではなく「避難民」と呼び、新たな枠組みの中で受け入れてきた。現在日本では、こうした「避難民」を受け入れるための「補完的保護」制度の新設を盛り込んだ出入国管理・難民認定法(入管難民法)の改定案が検討されており、秋の臨時国会に提出されることが見込まれている。
要請文はこうした動きに対し、「現行の入管及び難民認定法の制度の下でも、戦争避難民を、人道的配慮で在留特別許可に導くことが制度的に可能であると考えられます」と指摘。専門家の中には、新制度によってかえって今まで以上に認定基準が制限される可能性があると危惧する声もあるとしている。
その上で、「何よりも、(名古屋市の入管施設で亡くなった)ウィシュマ・サンダマリさんの悲惨な死によって露呈されることとなった日本の入管体制における全件収容主義と長期収容の非人道的問題の抜本的改革こそが急がれます」と強調。難民認定制度を入管体制と切り離し、独立的に位置付ける制度改革が求められるとしている。