日本キリスト教協議会(NCC)は23日、ロシアによるウクライナ侵攻が激しさを増す中、日本国内で軍備増強を主張する声が出始めていることを受け、岸田文雄首相に対し、憲法9条の精神に立脚した平和外交と人道支援の政策を力強く推し進めるよう求める要請文を出した。
要請文は、ロシアによる侵攻を「国連憲章を蹂躙(じゅうりん)する暴虐」とし、決して許されるものではないと批判。子どもを含む多くの民間人犠牲者と大量の難民が発生している現状に触れ、侵攻を決めたロシアのウラジーミル・プーチン大統領の責任を指摘した。
その上で、戦争の永久放棄をうたう憲法9条について「日本と世界にとって平和の道しるべ」だとし、「時代にそぐわぬものとして問い直されるどころか、その精神は、今こそこれまで以上に、人間と国家の相互不信と敵意を克服する道として世界に発信されなければなりません」と強調。憲法9条の精神に基づく英知を結集し、日本政府をはじめ国連と世界が、戦争終結の道を切り開く外交的な方策を模索し、提言していくべきだと主張した。
また、憲法9条の理念は隣人愛の精神と表裏をなすものだとし、政府と市民社会が共に国際的に協力し、他国に逃れたウクライナ人難民への物心両面の支援に取り組まなければならないと指摘。さらに、ウクライナ国内で避難する人々への人道的救援活動にも携わることが求められるとした。