ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、日本キリスト教協議会(NCC)は25日、「ロシアやウクライナをはじめ、世界のキリスト教会と共に、ロシア軍、またベラルーシ軍のウクライナ侵攻の即時中止と平和の対話交渉への復帰を訴えます」とする声明を発表した。
吉高叶(かのう)議長と金性済(キム・ソンジェ)総幹事の連名で出された声明は、ロシア軍の軍事侵攻について「市民も巻き込みながら多くの死亡者を出す流血事態となり、ウクライナの避難民が国境を越え逃げまどっていることに、わたしたちは世界の人々と共に深い悲しみを覚え、大きな怒りを禁じ得ません」と非難。ロシアがウクライナ東部の紛争解決に向けたミンスク合意を破棄し、親ロシア派地域の独立を承認したことに遺憾の意を示し、「ロシアは、このミンスク合意に立ち返らなければならず、また1994年にロシアがウクライナの独立と主権を尊重することを約束し署名した『ブダペスト覚書』を想起しなければなりません」とした。
さらに、「この驚愕(きょうがく)のロシアによるウクライナ侵攻の事態を前に、わたしたちは世界のこの30年の歩みを振り返ります」とし、「1991年の冷戦体制崩壊後、世界はその後も軍事力増大に依存した『安全保障』論にひそむ冷戦時代の相互不信と敵意の亡霊から解放されず歩んできたことを、平和の神の前にわたしたちは悔いずにおれません」と述べた。
その上で、今回の軍事侵攻に対して沈黙してはならないとし、「わたしたちは、平和とは相いれず、世界を戦争へと転落させる不信と敵意の思考と感情を克服し、キリストの平和の十字架の福音に堅く立ち、紛争地域のみならず、わたしたちに身近な地域においても軍事力増強により頼み、いのちと人権、そして民主主義を危機にさらす流れにあらがいながら、神の国の平和の道を追い求めます」と決意を述べた。