日本カトリック難民移住移動者委員会など7団体は7日、2年前に廃案となった出入国管理・難民認定法(入管難民法)改定案を一部修正した上で、現在開会中の通常国会(1月23日~6月21日)に提出することが同日、閣議決定されたことを受け、抗議声明を発表した。
入管法改定案は2021年、オーバーステイなどで強制退去を命じられた外国人の長期収容問題を解消する目的などで提出された。しかし、改定案提出後に、名古屋出入国在留管理局で収容されていたスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件などを受け、出入国在留管理局の非人道的な対応などに批判が集中し、廃案に追い込まれた。
新たに提出される改定案は一部修正が加えられているものの、2年前の改定案の骨格がそのまま維持されている。そのため、声明は「廃案になった入管法改定案とほぼ同じ内容」だと批判。「改悪」だとし、閣議決定に抗議し、改定案に反対を表明している。
改定案の問題点について、具体的には以下の5点を列挙。その上で、「迫害を受ける恐れがある人たちを送り返すことをやめさせましょう。本国に帰れない事情を抱える人たちに刑罰を科すことをやめさせましょう」と訴え、一人一人が声を挙げるよう呼びかけている。
- 国際基準に反する難民制度と低い難民認定率を改善しないまま、難民申請者を強制送還できる仕組みを設ける。
- 難民など帰国できない事情がある人に帰国を命じ、従わないと処罰する。
- 在留資格のない外国人に対する、司法審査を経ない無期限・長期収容の制度を維持する。
- 新設の監理措置制度で収容から解放された人に対して、就労を原則として処罰対象にして、監視を強める。
- 在留資格のない人への在留特別許可による救済の可能性を狭める。
共同で声明を出したのは、▽アムネスティ・インターナショナル日本、▽移住者と連帯する全国ネットワーク、▽全国難民弁護団連絡会議、▽日本カトリック難民移住移動者委員会、▽入管問題調査会、▽全件収容主義と闘う弁護士の会ハマースミスの誓い、▽ヒューマンライツナウの7団体。これらの7団体は、通常国会が始まる前の1月にも、改定案に反対する声明を発表している(関連記事:カトリック難民移住移動者委など7団体、入管法改定案の再提出に反対声明)。