日本カトリック難民移住移動者委員会など5団体は20日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、入管施設に収容されている外国人のうち、国内に受け入れ先のある被収容者の解放などを求める緊急共同要請を政府に申し入れた。
主な要請内容は、1)国内に受け入れ先のある被収容者全員の解放、2)感染が疑われる場合、速やかに検査を実施し、感染が判明した場合は収容施設外と同等の医療水準を保障すること、また収容代替措置の推進、3)在留特別許可制度の柔軟な運用――の3点。
要請では、入管施設の医療環境のぜい弱さを指摘した上で、「被収容者が新型コロナウイルスに感染したり、あるいは感染が疑われる場合に、十分な対応ができるとは到底考えられません」と主張。新型コロナウイルスの感染拡大が致命的な結果を招く恐れがあるとして、国連の4機関も被収容者の解放を求めていると訴えている。
また、世界中で出入国が制限されている現状は、入管法52条6項にある「送還することができないことが明らか」な状況に相当すると指摘。同項ではその場合、必要な条件を設けた上で被収容者を放免することが可能と定めており、「直ちに、国内に受入れ先のある被収容者を全員、特別放免により解放してください。特別放免が困難だとしても、職権による仮放免を許可してください」と求めている。
さらに、入管施設は社会的距離を確保するのが難しいなど、感染リスクの高さが指摘されており、短期間で感染が広がる恐れがあるとし、感染が疑われる場合は速やかに検査を行うよう要求。感染が判明した場合も、施設外と同程度の医療を保障するよう求めた。その上で「国際人権法上、入管収容は最後の手段であるべき」だとし、受け入れ先のない被収容者においても、収容代替措置の促進を求めた。
この他、就労が認められていない仮放免者などは、新型コロナウイルスの影響で一層の生活困難に直面していると指摘。劣悪な生活環境や困窮が仮放免者の感染リスクを高め、それが感染拡大につながる可能性もあると懸念している。また非正規滞在者は、感染症状がある場合も摘発を恐れて医療機関に行けない場合があり、これがさらなる感染拡大を誘発しかねないと指摘。こうした危険性の軽減と、すべての人の命や健康を守る観点から、帰国できない非正規滞在者の特別な事情を慎重に検討し直し、在留特別許可制度を柔軟に運用するよう求めている。