日本カトリック難民移住移動者委員会など7団体は17日、2年前に廃案となった出入国管理・難民認定法(入管難民法)改定案が23日招集の通常国会に再提出される見通しになったことを受けて、岸田文雄首相と斎藤健法相に対し、改定案に反対する声明を送付した。
声明は、同法案が多くの人の命や人権を脅かす重大な問題を含んでいると指摘。具体的には、▽低い難民認定率に改善策をとらない一方、難民申請者の送還を可能にし、迫害を受ける恐れがあるのに難民を本国に送り返す、▽送還忌避罪を創設し、帰国できない事情があって在留を希望する人に刑罰を加える、▽監理措置制度により、在留資格のない外国人について、その監視を支援者らが引き受けない限り解放せず、無期限の長期収容制度を存続させる、▽在留特別許可制度の縮小と問題のある判断要素の法定で、同制度による救済を狭めると批判した。
名古屋出入国在留管理局で収容されていたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した問題など、2年前に同法案が廃案となった経緯に触れ、その後も入管収容の実態に対する市民の怒りが続いているとし、「一昨年と同様の法案を提出することは、民意までないがしろにするもの」と強調。「これ以上、移民、難民の人たちに対する非人道的な政策はやめてください」と訴えた。
その上で、誰一人取り残さない社会を実現するため、1)国籍に関わらない共生を目的とする法律の作成と行政官庁の設置、2)難民保護を目的とする法律の作成と独立した行政官庁の設置、3)入管収容制度に期間の上限・要件の限定、司法審査を導入すること、4)仮放免中など在留資格のために審査中の外国人について、生存権を保障するための就労・社会保障を可能にすること、5)在留を希望する外国人に対して、人権の基準に沿って在留を許可することを求めた。