米国のアントニー・ブリンケン国務長官(外相)は2日、信教の自由に関して「特に懸念のある国」(CPC)に12カ国、一段階低い「特別監視リスト」(SWL)に4カ国を指定すると発表した。
発表(英語)によると、CPCに指定されたのは、ミャンマー、中国、キューバ、エリトリア、イラン、ニカラグア、北朝鮮、パキスタン、ロシア、サウジアラビア、タジキスタン、トルクメニスタンの12カ国。SWLに指定されたのは、アルジェリア、中央アフリカ、コモロ、ベトナムの4カ国。
今年CPCに新たに指定されたのは、中米のキューバとニカラグア。両国は昨年、SWLに指定されていた。ロシアは昨年から、それ以外の国は昨年以前からCPCに指定されていた。北朝鮮は21年連続のCPC指定。
CPCには、「組織的かつ現在進行中の甚大な信教の自由の侵害」を行っている、または容認している国が指定される。
現在、世界で最も多くのキリスト教徒が殺害されている国であるナイジェリアは、ドナルド・トランプ政権下の2020年に初めてCPCに指定された。しかし、ジョー・バイデン政権下となった昨年に除外され、今年も再指定されなかった。
米政府の諮問機関である米国際宗教自由委員会(USCIRF)は4月、昨年CPCに指定された10カ国に加え、アフガニスタン、インド、ナイジェリア、シリア、ベトナムの5カ国も指定するよう勧告していた。
USCIRFは2日に発表した声明(英語)で、キューバとニカラグアは22年に入ってから、信教の自由を巡る状況が悪化していたとして、SWLからCPCに格上げしたことを歓迎。また、USCIRFの勧告に従い、中央アフリカとベトナムを新たにSWLに指定したことを評価した。
一方、USCIRFが勧告しながらもCPCに指定されなかった5カ国のうち、特にインドとナイジェリアについては、CPCに指定しないことは、「両国の特に厳しい信教の自由の侵害に目をつぶる」ことになるとし、決定は「不可解」だと批判。ウイグル系米国人弁護士であるUSCIRFのヌリー・トゥルケル委員長は、「非常に失望している」と表明した。
ブリンケン国務長官はこの日、信教の自由に関して「特に懸念のある組織」(EPC)も発表。ボコ・ハラムやイスラム国西アフリカ州(ISWAP)、タリバンなどのイスラム過激派組織や、ロシアの民間軍事会社「ワグネル・グループ」など、9つの組織を指定した。