日本カトリック正義と平和協議会(会長:ウェイン・バーント司教)は、「世界死刑廃止デー」だった10日に合わせ、岸田文雄首相、葉梨康弘法相、林芳正外相に宛てた声明を発表した。声明では、直ちに死刑執行を停止するとともに、1989年に国連で採択された死刑廃止国際条約(自由権規約第二選択議定書)の批准に向け、最大限の行動を取るよう要請した。
声明は、戦争と死刑はいずれも「国家による、殺人という究極の暴力を用いた問題解決のための手段」だと指摘。「暴力的な方法によっては、真の正義も平和も決して実現することはない」とし、「正義と平和は、ただひたすら、対話と非暴力によって目指されなければなりません」と訴えている。
また、ローマ教皇フランシスコが9月、死刑制度が全ての国で法的に廃止されるよう祈り、行動するよう呼びかけたことに言及。教皇の呼びかけに応じ、世界の祈りに声を合わせつつ、死刑廃止を訴えた。
世界死刑廃止デーは、司法関係者や市民団体などによって構成されるNGO「世界死刑廃止連盟」(本部:パリ)が2003年、毎年10月10日と定め、今年で20回目を迎えた。
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」の統計によると、21年時点で死刑を法律上または事実上廃止している国は144カ国。これに対し、日本を含む死刑執行国は18カ国となっている。
死刑が最も多く行われているのは中国で、死刑判決数・執行数ともに数千件とみられている。次に多いのはイランで、その他執行数が多い国は、エジプト、サウジアラビア、シリア、ソマリア、イラク、イエメンなど、中東とアフリカに集中している。