日本で最も地価が高いといわれる銀座。その地で30年にわたり伝道活動を続けてきた「東京福音センター」が23日、新会堂の献堂礼拝を行った。これまでは月2回、貸し会議室などをその都度借りて集会を行うなどしてきたが、今回初めて常設の礼拝堂を得ることができた。献堂礼拝では、同センターの万代栄嗣主任牧師がメッセージを伝え、「21世紀の日本ほど、神を必要としている場所はありません。決して、キリストの福音は色あせていない」と強調。新会堂が与えられた恵みを感謝するとともに、福音を伝える働きのさらなる前進のために祈りをささげた。
東京福音センターの始まりは、栄嗣牧師の父・恒雄牧師の時代にまでさかのぼる。日本を代表する伝道者であった恒雄牧師が、東京で本格的な伝道活動を開始したのが1992年。銀座8丁目にあったホテルを会場に集会を開いたのがその始まりだった。しかし94年5月、恒雄牧師が64歳で急逝。栄嗣牧師は当時、すでに副牧師となっていたが、東京福音センターを含めた全国に広がる7つの教会の牧会に加え、海外伝道やラジオ伝道、ビジネスマン向けの講演会、神学校の運営など、広範囲にわたる恒雄牧師の働き全てを、34歳の若さで引き継ぐことになった。
しかし、時代はバブル崩壊期。また、30代という若さもあり、カリスマ的な賜物により多岐にわたる働きを一代で築いた恒雄牧師の跡を継ぐのには、さまざまな苦労があった。東京福音センターも一時は集会に2、3人しか来ない時期があるなど、苦戦が続いたという。「しかし、主がこの世代交代を許されたのであれば、必ず神の御業は継続される」。そのように信じ、さまざまな会場を転々としながらも、銀座での集会を継続してきた。
そんな東京福音センターにとって、常設の礼拝堂は常に祈りの題目だった。栄嗣牧師は、1)最低100人は入る広さ、2)2路線以上利用可能なアクセス、3)できる限り経済的負担の少ない物件、の3つを条件に祈り、実際に足を運んで候補場所を探してきた。
日本の一等地である銀座にこだわったのには理由がある。政治、経済、文化など、日本のあらゆるものの中心地である東京、その東京の中心地である場所で福音を伝えるためだ。「東京のど真ん中の場所、それも東京で一番クオリティーの高いものが集まる場所、そこで働きをさせてください。そこで何があろうとも決して色あせることのない福音を語らせてください。そこから日本のリバイバルを起こさせてください」。それが栄嗣牧師の祈りだった。
「ビジョナリーホール」と名付けられた東京福音センターの新会堂は、銀座5丁目にある地上8階・地下1階建てのビルの7階にある。2015年からこのビルの3階と4階にある貸し会議室で集会を続ける中、7階に空室が出たことで交渉ができた。これまでも銀座の幾つかの物件について交渉をしてきたが、多くの場合、宗教法人という理由だけで門前払いとなった。今回も不動産会社は否定的だったというが、一つ一つの課題を神が解決してくれ、オーナー側との直接交渉で契約にこぎ着けることができたという。
その後、改装工事を経て、限られた時間の中、急ピッチで献堂礼拝の準備を進めてきた。栄嗣牧師も2日前から東京に来て、信徒たちと共に新会堂を神にささげる備えをした。この間、心からの喜びを味わったという栄嗣牧師。献堂礼拝のメッセージでは、「東京に1千万を超える人々、首都圏に3千万人の人々がいて、この何ともいえない満足感、充実感、喜びの感覚を持っている人はどれくらいいるのか」「主イエス・キリストにつながる喜び、私はこの教会がその喜びを押し出してくれることを信じて疑いません」と伝えた。
新会堂内部のデザインは、青を基調としている。これは、聖霊の生ける水の川をイメージしたもので、「わたしを信じる者は、聖書が言っているとおりに、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる」(ヨハネ7:38)というイエス・キリストの言葉から。栄嗣牧師はこの日、この聖書箇所を中心にメッセージを伝え、「この東京福音センターの新会堂を、生ける水の川が流れる場所として、主におささげしたい」と話した。
一方、「この献堂礼拝が決してゴールではなく、単なるスタートにしかすぎないと、主は既に語っておられます。私は新しい次元の主キリストの働きをこの街から開始して、神様に喜ばれる伝道の働きをこの東京の地において体験したいと思います」と強調。「神が求めておられるのは、見物人や野次馬、評論家や批判家ではない。神が求めておられるのは当事者」と述べ、一人一人が神の働きに加わる者となるよう促した。
献堂礼拝では、新会堂の準備を進めてきた信徒2人が証しをした。川口苑子さんは、東京福音センターに通い始めてから、神が数え切れないほどの不思議な体験をさせてくださったと言い、「神様は生きておられて、祈るなら、その祈りを必ずかなえられることを皆さんにお伝えしたい」と語った。字引淳さんは、これまで集会を行ってきた同じビル内に新会堂が与えられたことの恵みを話し、「『神のなさることは、すべて時にかなって美しい』(伝道者3:11)。本当に主のなされることに、ハレルヤと言いたい」と語った。
東京福音センターの岡照芳担当牧師は、「この場所が、まことの命の水があふれ出る泉となって、全て飢え渇いている人々が満たされますように」と祈り、「今日からこの場所は、天と地がつながるところ、神様と人がつながる場所、主が生きて働かれる聖なる神の宮となります。神様と私たちとの新しい物語がここから始まります」と力強く語った。
東京福音センターは今後もしばらくは、これまで同様に月2回の集会、毎週日曜日の本部・松山福音センターの礼拝ライブ配信を継続していく。10月は、6日(木)と20日(木)にいずれも午後7時から集会を開く予定。その他の集会予定など詳しくは、東京福音センターのブログを。