世界福音同盟(WEA)のトーマス・シルマッハー総主事は4月6日、WEAの代表団と共に米ニューヨークの国連本部を訪れ、国連のアントニオ・グテーレス事務総長と会談した。会談では、ウクライナ戦争やそれに伴う難民危機、信教の自由をめぐる問題、環境問題などについて話し合った。WEAが12日、公式サイト(英語)で伝えた。
グテーレス氏は、WEAが幅広い分野に長期的に関与していることに感謝を示し、国連難民高等弁務官在任中にWEAの働きをよりよく知ることができたと話した。カトリック信者であるグテーレス氏はまた、自身も信仰を持つ者として、WEAがさらに関与を深めるとともに、志を同じくする他の宗教者にも草の根の協力活動に参加するよう促すことを求めた。
シルマッハー氏は、国連のさまざまな機関が、信仰に基づく組織との協力を強化していることを称賛。国連環境計画(UNEP)が、信仰に基づく組織を、NGOなどの非国家主体の下に位置する組織として扱うのではなく、地球規模の解決策を特定し、実施するための重要なパートナーとして認めた最初の国連機関であることを強調するなどした。
「世界各地の福音同盟に所属する数億人のクリスチャンは、汚職や人種差別、経済格差、信教の自由の抑圧といった問題に対し非常に批判的であるため、他者との協力に関して、必ずしも気楽なアクター(行為主体)ではありません」とシルマッハー氏。しかし、「単に批判するために批判しているのではありません。むしろ、イエス・キリストの御心にかなう平和で公正な住みよい世界のために、協力し、有意義な関わりを持とうとしているのです」と強調した。
また、グローバルな問題にはグローバルな組織を通じて関与する必要があり、国連は信仰に基づく組織が参加し貢献するための多くの扉を開いていることを認識していると付け加えた。
シルマッハー氏がグテーレス氏と会談するのは、昨年2月に総主事に就任して以来、これが初めて。
WEAは1997年以来、国連の経済社会理事会(ECOSOC)の特別協議資格を有している。国連との協議のために、ニューヨーク(米国)、ジュネーブ(スイス)、ボン(ドイツ)にそれぞれ事務所を開設しており、さまざまな国連機関への関与を継続的に高めている。
今年初めには、国連本部の向かいに立つ「国連チャーチセンター」にも新たな事務所を開設した。国連チャーチセンターは、米合同メソジスト教会が宗教間交流を目的に設置した12階建てのビルで、世界教会協議会(WCC)など、他のキリスト教団体もセンター内に事務所を構えている。
シルマッハー氏は会談中、国連の4大主要事務所の1つであるケニアの国連ナイロビ事務所にも今後、WEAの国連常駐代表を置く考えを伝えた。