福音派の世界的連合体である「世界福音同盟」(WEA)が8月20日、設立175周年を迎えた。1846年、11カ国52教派から約800人の福音派指導者が英ロンドンに集まり、当時の信仰復興運動「大覚醒」の勢いに乗る形で、「教会史の中で新しいもの、すなわち、異なる教会に属するクリスチャンの一致を表す組織となる」ことをビジョンに設立された。現在では、143カ国約6億人の福音派を代表する世界的なネットワークとなっている。
世界宣教の推進と福音派の一致に加え、福音主義の観点から、信教の自由や児童労働虐待、人権に関する問題など、その時々の重大な社会問題にも意見表明をしてきた。この10年近くは、国連との関わりを強めており、国連の経済社会理事会に対する特殊協議資格も得ている。
発表(英語)によると、今後1年にわたる記念キャンペーンを展開し、その歴史や活動について特設サイトで紹介する予定だ。また、次の175年に向けたビジョンについても紹介するという。WEAのトーマス・シルマッハー総主事は、設立175周年を迎えて次のように語った。
「WEAは、信じられないほどの多様性の中で、福音主義者たちが一つにまとまっているという事実の証しであり続けています。1846年には、聖公会やルター派、改革派、アナバプテストなどの宗教改革時代の教会が参加し、その後さらに、バプテストやメソジスト、救世軍まで、プロテスタント信仰を持つあらゆる分野の教会が参加してきましたが、今日ではペンテコステ派やカリスマ派、独立系の教会など、20世紀に形成されたより新しい教会も多く含まれています。
さらに、各国の福音同盟や各地域の福音同盟はそれぞれ独自の歴史を持っており、福音主義者は何百もの民族から成っており、それぞれが話す言語は千近くに及びます。これらを考慮すると、WEAはかつてないほど多様性豊かな組織となっています。このことは、この節目の年を通して認識していきたいことでもあります。
その一方、近隣の地域教会に根を持つ世界的ネットワークとして、イエス・キリストを個人的な救い主とし、聖書を最高の規範とし、福音を説き実践することで世界を変革するという目標を、私たちは固く持ち続けています」
1年間の記念キャンペーンは、各福音同盟が持つ各地域の「一致」をテーマにした祈りの課題を、ソーシャルメディアで毎日発信する活動から始まる。シルマッハー氏は節目の年に当たり、世界中の福音派に祈りによる団結を求め、次のように語った。
「祈りは常にWEAの基盤となってきました。ですから私たちは、キリストの世界的な体の多様性と、彼らが直面している独自の機会と課題を認識することによって、この記念の年を始めたいと思います。新型コロナウイルスの流行や、その他さまざまな自然災害、人為的災害の中、今、祈りが強く必要とされていることを私たちは意識しています。それ故、皆さんにも加わってほしいのです。WEA設立175周年を記念し、私たちが一つになることで世の人々が信じるようになるというイエスの祈り(ヨハネ17:21~23)を実現するため、私たちはあらゆる努力を続けていきます」