国連の世界食料デーに合わせ、世界福音同盟(WEA)や世界教会協議会(WCC)など、キリスト教を含む国際的な宗教諸団体は16日、共同声明「飢餓撲滅のための祈りと行動」(英語)を発表した。
国連は7月、2020年に世界の飢餓状況は劇的に悪化し、飢餓に苦しむ人は最大で、世界人口の1割に相当する8億1100万人に及ぶとする報告書を発表した。飢餓人口は2019年以降25パーセントも増加しており、世界43カ国で4100万人が今後、飢饉(ききん)に陥る危険にさらされている。声明はこうした危機的な状況に言及し、「信仰者として私たちは、飢餓撲滅のために祈り、行動することを誓う」と宣言している。
飢餓の原因には、紛争や貧困、不平等、災害、気候変動などがあるとされ、新型コロナウイルスも食料生産やサプライチェーンに影響を与えたとされている。声明は、食料の質と量の低下は、人々の栄養状態を悪化させ、特に幼い子どもの知的・身体的能力の発達を脅かし、国家レベルにおいても何世代にわたる影響を与えると警告。その一方で、「最悪の被害を受けている国であっても飢饉は防げる」と強調。「何万人もの子どもたちの不必要な死を防ぐために、私たちは直ちに行動しなければならない」と訴えている。
具体的には、今年5月にロンドンで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)で承認された協定「飢饉防止及び人道危機に関するG7コンパクト」の実行などを要求。同協定では、人道支援のために70億ドル(約8千億円)を提供することを約束するなどしている。
声明は、「私たちは、この世界にはすべての人にとって十分なものがあると信じている」とし、「どこかで起こっている飢饉や飢餓は、集団としての倫理的、道徳的な失敗を意味している」と指摘。「すべての善意の人々に対し、私たちと共にこの責任を引き受け、より多くの人々が飢えるのを防ぎ、最も脆弱(ぜいじゃく)な立場にある人々のために正義を追求するよう呼び掛ける」としている。
声明は、WEAやWCCのほか、世界メソジスト協議会(WMC)やルーテル世界連盟(LWF)、ワールド・ビジョンなどの国際的なキリスト教組織を含め、16団体が署名している。