キリスト教国際NGO「ワールド・ビジョン」は、11日の「国際ガールズ・デー」に合わせて新型コロナウイルスと児童婚に関する報告書(英語)を発表し、新型コロナウイルスの影響で新たに330万人の子どもたちが児童婚のリスクにさらされていると警鐘を鳴らした。
報告書によると、児童婚の割合は世界的な飢餓の増加に伴って上昇しており、貧困に苦しむ子どもはそうでない子どもよりも、未成年のうちに結婚する可能性が6割も高いという。ワールド・ビジョンでアドボカシー・渉外担当を務めるデイナ・ブズセア氏は、「SDGs(持続可能な開発目標)のターゲットには2030年までに児童婚を撤廃することが掲げられていますが、進展は遅いままです」と指摘する。
「パンデミックによって貧困や飢餓が増加し、教育機会が失われ、少女たちは結婚させられるリスクが高まっています。ここでも、少女たちが危機の矢面に立たされています。多くの少女が教育の機会を奪われ、結婚を余儀なくされており、中には2倍以上の年齢の男性と結婚しなくてはならない少女もいます」
新型コロナウイルスによる学校の閉鎖も、児童婚に大きな影響を与えている。報告書によると、現在学校に通っていない子どもは、学校に通っている子どもよりも、未成年のうちに結婚する可能性が3・4倍も高いという。ブズセア氏は、「新型コロナウイルス感染症の影響で、小学生や中学生の少女500万人が教育を受けられない可能性があります。これらの少女たちは、児童婚の高いリスクにさらされています」と指摘し、次のように訴えた。
「飢餓、貧困、教育へのアクセスなど、児童婚を誘発する根本原因に早急に対処しなければなりません。新型コロナウイルス感染症の経済対策に焦点を当てている各国政府は、パンデミックの余波に苦しむリスクにさらされている、世界で最も弱い立場にある子どもたちの保護にも優先度高く取り組まなくてはなりません。貧困と飢餓に苦しむ数百万人もの子どもたちの親が、どの子どもを手元に置き、どの子どもを結婚させるべきかという恐ろしい選択を迫られています。私たちは、児童婚の強制を許すことはできません。世界には、子どもたちが結婚を強いられることなく、すべての人が食事をすることができ、教育を受けられるだけの十分な資源があるはずです。私たちは児童婚を防ぐために、今、行動しなくてはなりません」
児童婚は、18歳未満での結婚、またはそれに相当する状態にあることとされ、子どもの権利侵害と見なされる。子どもの成長や発達に悪い影響を与え、学校を中途退学するリスクも高まり、女子の場合は、妊娠や出産による死亡リスクが高まるほか、暴力、虐待、搾取の被害も受けやすい。世界では約7億5千万人の女性と少女が18歳未満で結婚しているとされている。
国際ガールズ・デーは、若い女性の権利やエンパワーメントの促進を広く国際社会に呼び掛ける日として国連が制定した記念日で、今年で10回目を迎える。