ローマ教皇フランシスコは4日、バチカン(ローマ教皇庁)で岸田文雄首相と会談する。日本の首相がバチカンを訪問するのは、2014年の安倍晋三元首相以来8年ぶり。共に核兵器廃絶を訴える立場から、会談でも議題に上る可能性がある。共同通信が伝えた。
同通信によると、教皇と首相の会談はバチカンが2日に発表した。これに先立ち、読売新聞は4月29日、東南アジアと欧州を歴訪する首相が、教皇と会談する方向で調整を進めていることを伝えていた。
岸田首相は4月29日に政府専用機で羽田空港を出発。インドネシア、ベトナム、タイ、イタリア、英国の5カ国を訪問し、6日に帰国する予定。
読売系の英字紙「ジャパン・ニューズ」は政府関係筋の話として、首相は核兵器に関する問題を解決するため、教皇との協力を強めたい考えだと伝えている。
教皇は19年に来日した際、被爆地の広島と長崎を訪問。核兵器の使用は「犯罪以外の何ものでもない」などと語り、所有も含め、核兵器の完全撤廃を強く訴えた。その後、首相官邸で当時首相の安倍氏と会談している。
現教皇フランシスコと会談する日本の首相は、岸田氏が安倍氏に次いで2人目。それ以前は、当時首相の麻生太郎自民党副総裁が09年、先代の教皇である名誉教皇ベネディクト16世と会談。さらにそれ以前は、故小渕恵三元首相が1999年に、先々代の教皇である故ヨハネ・パウロ2世と会談している。日本の歴代首相で初めて教皇と会談したのは故吉田茂元首相で、1954年に当時の教皇ピウス12世と会談している。