中国の習近平国家主席と彭麗媛(ほう・れいえん)夫人に福音を伝えようとしたキリスト教徒の女性が拘束された。この女性は、50回以上同様の試みをしており、これまでに何度も拘束された経験があるという。
拘束されたのは、大連出身の周金霞(しゅう・きんか)さん。北京オリンピック最終日の2月20日、中国共産党と中国国務院(中国政府)の中央本部がある北京の中南海地区を訪れ、同地区の正門「新華門」の前で、「神はこの世を愛しておられる。神の国が近づいており、すべての人が悔い改めなければならない」などと書かれた垂れ幕を掲げたところ、拘束されたという。
米迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC、英語)によると、周さんは大連に送還され、翌21日、騒乱挑発罪の容疑者として刑事拘留(日本の勾留に相当)された。
中国では3月上旬、国会に当たる「全国人民代表大会」(全人代)と国政助言機関「中国人民政治協商会議」(全国政協)の年次会議が開かれた。この2つの機関の会議は「全国両会」と呼ばれ、今後の政策方針を共有する重要な政治イベント。ICCによると、中国政府は通常この時期に、全国両会が滞りなく進行するよう、市民社会に対する締め付けを強化するという。
中国の人権状況を監視する在米キリスト教団体「チャイナエイド」(中国語)によると、周さんはこれまでも、新華門の前で習近平国家主席と彭麗媛夫人に福音を伝えようと50回以上試み、何度も拘束されてきた。
2018年3月には、「神はこの世を愛しておられ、習近平を呼ばれている」などと書かれた垂れ幕を掲げて拘束された。16年3月には、「自由、平等、正義、誠実は神からのもの。『無神論』は悪を生み出し、国と人々に災害をもたらす。義は国々を高め、罪は人々にとって恥となる。神の国が近づいている。あなたは悔い改めるべきだ」と書かれた垂れ幕を掲げ、「社会秩序を乱した」として、10日間の行政拘留処分を受けている。