英北部スコットランドのグラスゴーで31日から始まった国連の気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に合わせ、教会指導者らは気候変動がもたらす大惨事から地球を救うため、抜本的な行動を約束するよう各国の指導者に求めている。
英国国教会(聖公会)のカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは、英イブニング・スタンダード紙に対し、COP26の結果は「何百万人もの人々の生死」を左右するものだと指摘。すでに気候変動の影響を受けている地域や「気候変動による不公平の最前線」にいる人々の声が会議の参加者に届くことを期待していると語った。
ウェルビー大主教は、世界を「最悪の大惨事」から救うために緊急の行動が必要だと強調。世界の指導者は事態の深刻さを理解する必要があるとし、次のように訴えている。
「COP26の気候変動交渉は、私たちの世界と、この世界に住む人々にとっての緊急手術です。その結果は、何百万人もの人々の生死に関わるものです。それほどこの瞬間を真剣に受け止めなければならないのです。世界の目はグラスゴーに向けられています。指導者たちは、人類全体のために成果を出さなければなりません。私たちは、子どもたちが生きられるように命を選ぶことができますし、そうしなければなりません」
英国国教会は今週、2030年までに教区全体で二酸化炭素の排出実質ゼロを達成するための協議を開始した。同教会はすでに石炭会社への投資を凍結しており、2023年までに石油・ガス会社に対する投資からも撤退する計画を立てている。
ウェルビー大主教は警鐘を鳴らす一方、次のようにも述べている。
「もしこの交渉が実現しなければ、私たちは暗く不穏な未来に直面することになりますが、私たちの世界を最悪の破局から救うための時間はまだあります。これは誰にとっても、より健康で、より思いやりがあり、より良い方法で生活を始める機会なのです」
カトリック教会のローマ教皇フランシスコもCOP26に先立ち、英BBCラジオ4の番組に事前収録した特別メッセージを寄せ、同様の訴えをしている。
「気候変動と新型コロナウイルスの大流行は、私たちの深い脆弱(ぜいじゃく)性を露呈し、経済システムや社会の構成方法に多くの疑念と懸念を抱かせました」
「私たちは安心感を失い、無力感や生活をコントロールできないことを経験しています。私たちはますます弱き存在となり、恐怖さえ感じるようになっています」