地球環境について考える国連の「アースデイ(国際母なる地球の日)」を迎えた22日、キリスト教国際NGO「ワールド・ビジョン」は、気候変動による災害がこれまで実施してきた開発援助の進歩を消し去る可能性があるとし、世界の指導者たちに対し気候変動の危機に対応するよう呼び掛けた。ワールド・ビジョンのアンドリュー・モーリー総裁は、「この危機の影響は、破壊的で無数の命を脅かしているばかりか、子どもたちが神から与えられている可能性を奪っています」と述べた。
ワールド・ビジョンによると、2019年には2390万人が気候変動に起因する災害によって家を追われ、その数は50年までに1億4千万人に達すると推定されている。さらに、30年までに1億人が気候変動により極度の貧困に陥る可能性があるという。ワールド・ビジョンは、最も脆弱(ぜいじゃく)な人々に不釣り合いな影響を与えているこの世界的危機に対し、国際社会の反応が遅いことを危惧している。
ワールド・ビジョンで気候変動対策のアドバイザーを務めるトニー・リナウド氏は、「気候変動、生態系の破壊、土地の劣化と汚染は、私たちを深刻な危機にさらしています」と語る。FMNRと呼ばれる自然再生技術の専門家でもあるリナウド氏は、これまでにFMNRの手法を26カ国で実施し、西アフリカだけで1500万ヘクタール以上の農地を回復。その結果、1ヘクタール当たり年間1〜2トンの二酸化炭素排出を抑制することに成功した。西アフリカのニジェールでは、資源の利用可能性が改善されたことで紛争が7割も減少したとする研究報告もあるという。
リナウド氏は、「アースデイは、私たちに立ち止まって新たなスタートを切る機会を与えてくれます。私たちは失ったものを回復し、不毛な土地を再生し、干ばつに強い作物を育て、環境技術を活用することができます」と述べた。
ワールド・ビジョンは、何百万人もの人々が命を脅かされる貧困状態に陥ることを食い止めるため、直ちに世界規模の投資が必要だと警告した。モーリ氏は、「自然破壊から最も縁遠い人々が、最も高い代償を払っています。これは、国際社会の嘆かわしい失敗です。今こそ私たちは、(温室効果ガスの)排出量と森林破壊を削減するために行動し、コミュニティーと力を合わせて気候変動の衝撃に対する回復力を高めなければなりません」と訴えた。