2017年に西アフリカのマリ南部でアルカイダ系過激派グループに拉致されたカトリック修道女のグロリア・セシリア・ナルバエズ・アルゴティさん(コロンビア出身)が9日、4年8カ月ぶりに解放された。10日にはローマ教皇フランシスコとも面会した。
フランス政府系の国際ニュース専門チャンネル「フランス24」(英語)によると、アルゴティさんは「聖マリアの汚れなき御心のフランシスコ姉妹会」に所属する修道女で、17年2月、宣教師として活動していたブルキナファソとの国境近くのマリ南部で拉致された。
マリでは、アルカイダや「イスラム国」(IS)と関連する過激派グループが、ジハード(聖戦)を標榜する反政府勢力を率いており、身代金目的の誘拐や残虐行為を行っているとされている。
「マリの警察、大統領、政府の皆さん、私を解放するために尽力してくださったことに感謝します。神が皆さんを祝福されますように。神がマリを祝福されますように」。アルゴティさんは謝意を示し、「私はとても幸せです。5年間健康でいられました。神に感謝します」と続けた。
マリの大統領府は声明で、アルゴティさんの解放は4年8カ月にわたって複数の諜報機関が協力して取り組んだ結果だと伝えた。
マリの首都バマコのジーン・ゼルボ大司教は、「私たちは彼女の解放のために多くの祈りをささげました」と言い、「この解放を可能にしてくれたマリ当局とその他の善良な人々に感謝します」と述べた。
マリの暫定大統領であるアシミ・ゴイタ大佐は、マリで拘束されているすべての人々を解放するために「複数の取り組みが行われている」と述べた。
英デイリー・テレグラフ紙(英語)によると、バチカン(ローマ教皇庁)のマッテオ・ブルーニ広報局長は10日、「今朝、世界代表司教会議(シノドス)を開くための聖なるミサの祝典の前に、教皇は最近解放されたコロンビア人修道女、グロリア・セシリア・ナルバエスさんにあいさつされました」とする声明を発表した。
マリでは6月にも、拉致されていたカトリック神父ら4人が解放されている。しかし4月には、プロテスタント福音派のスイス人宣教師ビアトリス・ストックリーさんの遺体が発見されている。ストックリーさんは16年1月、マリの過激派グループ「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」に拉致されていた(関連記事:スイス人女性宣教師が殉教、アルカイダ系組織が4年前に拉致)。
迫害監視団体「オープンドアーズ」が作成した「ワールド・ウォッチ・リスト2021」(英語)によると、マリは世界で28番目にキリスト教への迫害が深刻な国。オープンドアーズは報告書で、12年にイスラム過激派がマリ北部を制圧した後、多くのキリスト教徒が逃亡を余儀なくされたことを伝えている。多くの人が警察の保護下で帰還してきてはいるものの、マリ北部での伝道活動は襲撃や拉致につながる可能性があるため、「特にリスクが高い」とされている。