スイス政府はこのほど、西アフリカのマリでイスラム過激派組織に拉致され、昨年死亡が伝えられていたスイス国籍の女性宣教師の遺体が発見されたと発表した。
遺体が発見されたのは、ビアトリス・ストックリーさん。2016年1月にマリ北部の都市トンブクトゥで、アルカイダ系の武装同盟組織「イスラムとムスリムの支援団」(JNIM)に拉致された。その後、数年にわたり監禁されていたが、昨年10月、解放された別の人質の話として死亡が伝えられていた。
最近になって、赤十字国際委員が身元不明の遺体を発見。マリ当局に引き渡しDNA検査を行ったところ、ストックリーさんのものと判明したという。
2月にマリを訪問し、遺体の捜索を強く要請していたスイスのイグナツィオ・カシス外相は発表(英語)で、「悲しいことに、人質となっていた女性が亡くなったという決定的な証拠が得られました」と述べ、「しかし、遺体を遺族にお渡しできることになり、安堵(あんど)しています。心からお悔やみ申し上げます。また、遺体の身元確認に協力してくださったマリ当局にも感謝したいと思います」と語った。
JNIMは昨年10月、アフリカ宣教会(SMA)のカトリック司祭ら4人を解放。そのうちの1人であるフランス人人道活動家のソフィー・ペトロナンさんが、ストックリーさんはサハラ砂漠で監禁中、別の場所に移動させられるのを拒否したことで射殺されたと証言していた。
JNIMは、捕虜となっている仲間との交換のためにストックリーさんら人質を利用しようとしていたとされる。ペトロナンさんによると、JNIMは居場所が見つかるのを防ぐため、人質の監禁場所を度々変えていた。