キリスト教の路傍伝道者がロックダウン中に伝道したことで罰金を科され起訴された問題で、ロンドン治安判事裁判所はこのほど、伝道者を無罪とする判決を下した。
ロンドンに拠点を置く「キリスト教法律センター」(CLC)の声明(英語)によると、同裁判所は7月6日、伝道者のジョシュア・サトクリフ氏(31)について、「屋外にいたが、ワーシップリーダーとして仕事場に向かうという合理的な理由があった」として、無罪とする判決を下した。
サトクリフ氏は、受難日であった昨年4月10日にロンドン北西部のカムデン地区で説教し、トラクトを配っていたところ、警官4人に囲まれ、新型コロナウイルスのロックダウン規則に違反し、合理的な理由なく屋外にいたとして拘束された。
サトクリフ氏は警官に対し、自身は牧師であり、ワーシップリーダーであるとし、慈善活動を行うために屋外にいたと説明した。だが、英プレミア・クリスチャン・ニュース(英語)によると、警官はサトクリフ氏を注意した上で、罰金60ポンド(約9千円)の支払いを通知した。
しかし判決は、「被告は集会に参加していたため(ロックダウンの)第7規則に違反していたが、参加者らと共にいたため、欧州人権条約第9条(思想、良心および宗教の自由)と第10条(表現の自由)を適用できる」とし、「集会は時間的に限定的なものであり、よって、彼らには路傍伝道のために集まる権利があった」とした。
サトクリフ氏は「警官たちは私を下級市民のように扱いました」と批判。「私はキリスト教の福音宣教者です。これは、少し前までは英国で大切にされ、尊敬されていた職業です」と語った。
「困ったときには、主イエス・キリストの福音による希望が必要です。これこそ、私が日頃からしていることなのです。私は街に出て、キリストの復活の希望と真実を宣(の)べ伝えています。私は、キリスト教の暦の中で最も重要な日の一つである受難日に、これを行っていたのです。判事が今回の訴えを棄却し、理性と正義が勝利したことをとてもうれしく思います」
CLCのアンドレア・ウィリアムズ最高責任者(CEO)は、英国ではパンデミックの期間、クリスチャンが警官の「格好の標的」とされている一方、他のグループは大勢で集まっているにもかかわらず、警官に好意的に扱われていると問題視する。
「受難日に注意を受けた後も、サトクリフ氏は説教を続け、自分の靴をホームレスの男性にあげ、裸足で家に帰ったことさえありました。この危機的状況の中で、人々の物質的、霊的なニーズに応えるクリスチャンの証しとは、このようなものであるべきでした。しかしながら私たちは、サトクリフ氏のように地域社会で極めて困難にある人々に手を差し伸べようとする心を持ったキリスト教の説教者や牧師が、そのために罰金を科せられたり、逮捕されたり、起訴されたりするのを目の当たりにしています」