英国のボリス・ジョンソン首相は5日、新型コロナウイルスの感染症対策として課していた礼拝関連の制限を19日で全面的に解除すると発表した。
英政府はこの数カ月間、教会指導者らが異議を唱える中、感染症対策として教会内での会衆賛美を禁止してきた。下院で今回の変更について説明したジョンソン氏は、「冠婚葬祭などの催し物については出席者の人数制限がなくなり、対面式礼拝や賛美斉唱にも制限がなくなります」と語った。
ほとんどの制限が解除される19日からは、あらゆる企業が営業を開始し、会社員はオフィスに戻り、法的に義務付けられてきたマスクの着用も解除される。しかし、感染が急増していることや、今後、新たな変異株が現れる懸念もあることから、ジョンソン氏は手放しで喜ばないよう注意を喚起した。
英国国教会の新型コロナウイルス対策グループ責任者であるサラ・マラリー主教(ロンドン教区)は、今回の決定を受けて声明(英語)を発表。多くの人々が感染症対策のために犠牲を払ったことに敬意を表し、今後も注意が必要であることを喚起しつつ、次のように語った。
「ワクチン接種計画は祈りの答えであり、感染拡大の様相を一変させたとはいえ、すべてのリスクを排除したわけではありません。ですから、首相が言われたように、私たちは個人的な責任を果たし、新型コロナウイルス関連のリスクを注意深く管理しなければなりません。
隣人を自分のように愛するよう召されているキリスト者として、私たちは集団的責任を果たし、適切な予防措置を取り、引き続き他者を守らなければなりません。この1年半の間に、私たちは新型コロナウイルスで亡くなられた人々を何万人も追悼してきました。私たちは犠牲を払い、これまで想像もできなかったような生活様式の変化を経験してきました。それは互いを守るためであり、特に最も弱い立場にある人々を守るためです。
教会では信仰そのものを実践する方法がかつてないほど制限されました。共に集い、賛美をささげ、礼典を祝うことに影響が出たのです。どれもこれもが礼拝の中心だというのに。また特に、洗礼や結婚式、葬儀など、人生の重大イベントが制限されました。悲しいことに、喜びや苦しみの瞬間を他の人と共有するという基本的なものが多くの人から取り上げられたのです。
私は、教会がこうした困難に立ち向かう姿に感銘を受けました。この困難な時代に神を礼拝し、隣人に手を差し伸べ、仕えるために集う新しい方法を見つける姿勢に。また、この国の国民保健サービス(NHS)や社会福祉の最前線で働く人々の並々ならぬ努力にも深い感銘を受けました。また、見落とされがちですが、人生の形成期にある子どもたちや若者が、私たちを守るために長い間、犠牲を払ってくれたことにも言及したいと思います。
私は、長引く新型コロナウイルスの影響で人生が大きく変わってしまった人々のことも心に留めています。私たちは、礼拝所に対する政府の新しいアドバイスを待った上で、それに応じて教会に対してガイダンスを調整していくつもりです」