英国の教会指導者たちが政府に対し、教会などの礼拝所を7月まで閉鎖する計画を再考するよう求めている。
英国国教会チチェスター教区のマーティン・ワーナー主教はこのほど、教区内の下院議員らに宛てた公開書簡を発表し、新型コロナウイルスにより閉鎖されている教会などの礼拝所を再開するため、政府に働き掛けるよう求めた。書簡は「教会に来て慰めを求める人々のために、教会堂の継続的閉鎖を緊急に見直すよう」求めている。
ワーナー主教は、教会などの礼拝所の再開に対する政府の優先度が低いことに不満を抱く人々から、再開を要望する多くの声が届いていることを明らかにした。
英国では、自動車のショールームや園芸用品店、市場などがすでに再開している一方、教会などの礼拝所は早くとも7月4日まで閉鎖する必要があると指導されている。
こうした政府の方針に対しては、英カトリック教会トップのビンセント・ニコルス枢機卿をはじめ、英国の教会指導者らが厳しく批判している。
ワーナー主教は書簡の中で、教会は安全に再開できること、また、祈りと黙想の場を提供するためにも、教会の再開が必要であると強く主張している。
「緊張が高まっている今この時、献身的な信仰者、また、心の平安を得られる空間を求める人たちには、祈りの場としての教会や大聖堂への入場を求める深い渇望があると私は考えます」
「希望と信頼、そして忍耐力を構築する場とその実践が直ちに必要です」
「教会堂内での祈りや黙想を通して、前述の美徳を生み出すキリスト教会の能力は、過小評価されるべきではありません」
ロンドン中心部に位置するカトリック・サザーク教区のジョン・ウィルソン大司教は、ボリス・ジョンソン首相に書簡を送り、教会などの礼拝所を再開するよう要請した。ウィルソン大司教は、礼拝所の再開は信教の自由と平等の問題だと指摘した。
一方、こうした中、英ガーディアン紙(英語)によると、政府は個人的な祈りを行う場合に限り、6月15日から教会などの礼拝所を一部再開することを決めた。ただし、通常の礼拝や結婚式などの実施は認められず、完全な再開は早くても7月4日から。また、一部再開が適応されるのはイングランドのみ。英BBC(英語)によると、北アイルランドはすでにこうした個人的な祈りのための一部再開は認められているが、スコットランドとウェールズではまだ認められていない。