中国南部の貴州省貴陽市で現地時間23日午後11時(日本時間24日午前0時)ごろ、貴陽活石教会の仰華(ヤン・ホー)牧師が当局に拘束され、拘束中に地元の中国共産党幹部から暴行を受け、重傷を負う事件があった。仰牧師は緊急治療室に搬送され、現在も入院中だという。中国の迫害情報を監視する在米団体「チャイナエイド」(英語)が25日に伝えた。
チャイナエイドの続報(26日付、中国語)によると、仰牧師に暴行を加えたのは、中国共産党の貴陽市雲岩区政法委員会の書記を務める男性。当時は私服姿だったという。関係者によると、男性は仰牧師の違法行為を見つけることができなかったため怒り、仰牧師を地面にたたきつけたという。仰牧師が「好きなようにしろ。私は反撃しない」と言うと、男性は仰牧師の首を絞めたり、激しく平手打ちしたりするなどの暴行を加えた。暴行は3人の地方公務員がいる前で行われ、男性はその後、現場を立ち去ったという。
仰牧師は翌24日、中国東部の山東省青島市にいる信者の元を訪問する予定だったが、当局が訪問を止めようとして拘束。雲岩区公安局の派出所に連行され、事情聴取が行われている中で事件が発生した。
チャイナエイドや中国の人権問題を扱う「チャイナチェンジ」(英語)によると、貴陽活石教会は2009年、仰牧師ら4人の創設メンバーによって始められた。創設当初は約20人のメンバーがアパートの一室で礼拝をささげていたという。最初は小さな教会であったため、当局が関心を寄せることはなかったが、13年には400人のメンバーを擁するまで成長。貴州省でも有名な「家の教会」(政府非公認教会)として知られるようになった。
そのため貴陽市政府は15年、貴陽活石教会の礼拝が行われていた建物を強制的に閉鎖。16年初めには教会の財産を差し押さえた上で、500万元(約8600万円)余りで売却したという。当局はこの際、仰牧師を拘束し、「国家機密を故意に漏洩した」とする虚偽の告発を行い、2年半の懲役刑を科した。仰牧師は釈放後も当局の厳しい監視下に置かれ、貴州省で国際会議が開催されたり、外国の領事が貴州省を訪問したりすると、当局は仰牧師を別の場所に移送したり、仰牧師の居場所を監視し軟禁状態にしたりするという。
貴陽活石教会では、創設メンバーの1人である蘇天富(ス・ティアンフ)牧師も2018年に懲役1年、執行猶予2年、自宅軟禁6月の判決を受けている。