昨年2月、米サンフランシスコから家族と共に香港に移住し、教会を開拓していた中国系米国人牧師のフランシス・チャン氏が、香港当局からビザを取り消された。友人や牧師仲間に宛てた動画メッセージ(英語)の中で5日、明らかにした。現在は米国に帰国しているという。
『クレイジーラブ』の著書などで知られる福音派の牧師であるチャン氏は、母親が1950年代に香港の教会で奉仕していたため、香港には太いパイプを持っている。米国に移住した母親は67年にチャン氏を産むが、出産時の大量出血で死亡。チャン氏は香港に送られ、その後の5年間、現地在住の祖母の下で育てられた。
中国の迫害状況を監視している米キリスト教団体「チャイナエイド」(英語)によると、ビザを取り消されたのは、チャン氏自身と義理の息子2人。3人は現在、米国に帰国しており、ビザ取り消しの不服申し立ても行ったという。
「私たちの願いは香港にいることです。香港に戻れることを期待しています」とチャン氏は話している。
香港滞在中の10カ月間で、チャン氏ら3人は15〜20人が集う家の教会を3つ開拓したという。「私たち(3人)は、それぞれの自宅で(1つの)教会を導いていました。ところが、国を離れなければならないことを突然知らされたのです」
チャン氏はまた、香港を離れるに当たり、引き継ぎの備えができていないことを自覚していた若いリーダーたちを励ます必要があったと語った。チャン氏は彼らに、備えができているとは、「十分な情報」を持ち合わせていることではなく、「十分な信仰」があることだと諭したという。
「私たちにはそれがあります。備えに関していうなら、初代教会よりも私たちのほうが情報源が多いのです。ネットにはとても多くの情報源があり、利用可能な知識も豊富にあります。また、手元には聖書があります。これは非常に大きなアドバンテージです」
香港の若いリーダーたちは「後押しされることで成長する」時期にあったとチャン氏は述べ、「神が私を米国に戻らせた」と信じていると語った。