同性婚を認めないのは憲法に違反するとして、北海道在住の同性カップル3組が国を相手取り計600万円の損害賠償を求めて起こした訴訟で、札幌地裁は17日、賠償請求は退けたものの、「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反するとした。同性婚を認めないことを違憲とする司法判断は全国初。
NHKによると、武部知子裁判長は判決で、同性婚を認めないことは、婚姻の自由を定めた憲法24条においては、「婚姻は両性の合意のみに基づく」と異性婚を前提とした規定があることから違反しないとした。しかしその一方で、法の下の平等を定めた憲法14条においては、性的指向は人の意思によって選択できるものではないとし、同性愛者が婚姻によって生じる法的利益を受けられないのは「合理的な根拠を欠いた差別的な取り扱い」だとして違反するとした。
国の賠償責任については、同性カップルの保護に関する議論は比較的近年のものであり、「憲法違反の状態であると直ちに認識するのは容易ではなかった」として認めなかった。
同様の訴訟は、札幌以外にも、東京、大阪、名古屋、福岡の4カ所で起こされており、今回の判断が他の訴訟にも影響する可能性がある。
原告側は、判決で違憲判断が出たことを歓迎する一方、国の賠償責任が認められなかったことは不服だとして控訴する方針。これに対し、加藤勝信官房長官はこの日の記者会見で、同性婚を認めないことは違憲ではないとするのが政府の考えと説明。国が勝訴したため控訴することはできず、現段階では確定前の判決だとして、同時並行で行われている他の訴訟の判断も注視していくとした。
国は現在の婚姻制度について、夫婦が子どもを産み育てるための共同生活を送る関係に法的保護を与えることを目的としたものだとし、同性婚を認めないことは、憲法14条にも違反しないとする立場を示している。