英国国教会の主教らは、長い間議論を重ねた結果として、同性愛者の教会内での結婚、および聖職者の同性婚を禁止する現行の規則を変更するという「提案は存在しない」と発表。結婚は1人の男性と1人の女性によるもので、同性婚を容認しない立場を示した。一方で、現行の規則と教えの範囲内で、同性カップルに対して「最大限の自由」を与えるとし、同性カップルのために公式に礼拝をする可能性を示唆した。
同教会の主教らは、同性婚をめぐる隔たりや意見の違いを修復しようと、私的な議論を2年以上にわたって行ってきた。こうした議論の結果として1月27日、同教会の主教会は19ページに及ぶ報告書(英語)を発表。「レズビアンとゲイの人たちを歓迎し支援する新しい傾向と文化」を提示した。
同性婚をめぐっては、完璧な容認は不可能であるとしても、パートナー関係にある同性カップルに対し、公式的に「祝福」を与えたいと考えている人々もいる。この報告書は、2月13日から始まる同教会の総会で議論される予定だが、性的少数者(LGBT)を擁護する側からは、現行規則を変更しないという主教らの勧告に対して、激しい怒りが噴出するものとみられる。主教らは、同性婚を擁護することになる「祝福」を認めていない。
しかし主教らは、同性カップルに対しても適応可能な結婚と交際についての新しい教えを示すことを約束している。報告書は、この新しい教えによって、レズビアンやゲイの人々が、同教会での教会生活の中で居場所を見いだすことができるようになるだろうとしている。しかし、新しい教えが具体的にどのようなものになるかは示されていない。
同教会の聖職者が、同性カップルを正式に受け入れ、祈祷や礼拝を行えるかどうかに関しても、現行の規則は不透明であることを主教らは認めている。今後、「同性カップルに対する適切な牧会規則」のための手引書を出版する予定だとしているが、詳細は分かっていない。
イングランド東部ノーフォーク州のノリッチ主教グレアム・ジェームズによると、主教らは、同教会が同性カップルに何を提供できるかについては「さらに十分に吟味する」としている。
報告書は、この新しい手引書が「注意深く境界線を引く」ことになり、やっていいことと、やってはいけないことをはっきりさせることになる、と記している。一方でジェームズ主教は、同教会にいる同性愛のクリスチャンにとっては、「挑戦的で困難な読み物」になることを認めた。
「教義の変更はあり得ないというのが教義だ、というのが(主教らの)提案ですが、これは牧会的な実践です。われわれが人々をどのように扱うか、ということが最も大事なことなのです」とジェームズ主教は語った。
主教らは、同性愛の聖職者に性行為の有無を尋ねる質問の仕方を改善することについても述べている。現行の規則では、性的少数者の叙任候補者が、たとえ長期間にわたってパートナー関係にあったとしても、独身を貫くと宣言しなければならない。一方、異性愛者の場合は同様の質問をされることはない。
ジェームズ主教は、現行の規則について「十分な効果があるとはいえない」と認める。報告書は、性行為についての質問は同性愛者であれ、異性愛者であれ平等に適用すべきだとしている。また、セクシャリティーに焦点を絞る現行の方針は、「牧会上役に立たない」というチェックボックスにマークを付けるものだ、とも書かれている。