同性同士の結婚(同性婚)が認められないのは、婚姻の自由を保障し、法の下の平等を定める憲法に違反するとして、計13組の同性カップルが14日、国を相手取り1人当たり100万円の賠償を求める訴訟を、札幌、東京、名古屋、大阪の4都市の地裁で起こした。同性婚をめぐる集団訴訟はこれが初めて。国内の主要メディアが同日報じた。
共同通信によると、提訴したのは8都道府県に住む20〜50代の同性カップル。男性同士のカップルが8組、女性同士のカップルが5組の計13組で、3組が札幌、6組が東京、1組が名古屋、3組が大阪で提訴した。いずれも今年1〜2月に、各自治体に婚姻届を提出したが、受理されなかったという。
日本では現在、同性婚は法的には認められていないが、LGBTなど性的少数者のカップルを「パートナー」として公的に認める「パートナーシップ制度」を導入する自治体が増えている。NHKによると、パートナーシップ制度を導入しているのは現在、東京・渋谷区や大阪市、那覇市など11の自治体。今後も熊本市など複数の自治体で導入が予定されているという。
一方、各自治体で「パートナー」と認められた場合でも、法的な婚姻関係にあるわけではないため、法定相続人とはなれず、所得税や住民税の配偶者控除を受けることはできない。また手術が必要になった場合も、同意者になれないなど、制約がある。原告側はこうしたことから、法の下の平等に反すると訴えている。
同性婚をめぐっては、海外では2001年にオランダで初めて合法化され、その後欧米や南米を中心に認める国が増え、1月現在25カ国・地域で同性婚が認められている。一方、アジアでは認められている国はなく、中東やアフリカでは同性愛を違法とし処罰の対象とする国もある。
同性愛や同性婚をめぐっては、キリスト教界では教派によって立場が大きく異なる。正教会やカトリック教会は、性的少数者に対する差別には反対しているものの、同性愛行為や同性婚を認めていない。一方、聖公会では保守派、リベラル派で見解が著しく異なり、プロテスタントの諸教会でも、保守派や福音派では認めていない教会が多いが、リベラルな教会では積極的に容認している教会もある。