涌谷(わくや)保育園(宮城県涌谷町)の保護者会が2日、宮城県に対して社会福祉法人の指導監査の徹底を求める請願書を提出した。元園長の瀧澤雅洋氏は、現在も園を運営する社会福祉法人涌谷みぎわ会の理事長を務めており、保護者会は今後、理事長解任も求めていく考え。
保護者会は請願書で、瀧澤氏のパワハラの疑いにより、17人もの職員が大量に退職したことで保育サービスが低下したと指摘。保護者との話し合いの場の設置や大量退職に至った経緯の検証など、法人運営の適正化と再発防止策が図られるよう、県に指導監査の徹底を求めた。
請願書によると、保護者の中には園の出身者も多数おり、園は保護者にとって親しみのある場だった。しかし、瀧澤氏の赴任から時がたつにつれてトラブルや対立が常態化。事態が深刻化したことから、昨年3月には保護者会として瀧澤氏に対し園長の辞任勧告を決議した。しかし、瀧澤氏は肩書を変更するだけで実質的な行動は取らず、同11月までに職員17人が退職。保護者会は全体説明会の開催を求めたが、瀧澤氏は保護者を不審者扱いし、警察に通報するなどまったく取り合わなかった。さらに今年1月には、退職した職員のうち12人が集団提訴するに至っており、保護者会は「信頼を担保するすべてを失って現在に至っている」と訴えている。
涌谷みぎわ会の現況報告書によると、理事は現在5人だが、提訴した元職員らの労働審判手続申立書によると、瀧澤氏は19年、一部理事を退任させた上で、日本基督教団下谷教会牧師の藤田義哉氏ら自身と近い関係にある人物を理事に入れたという。また、理事を選任する立場にある評議員の中には、瀧澤氏が卒業した東京神学大学の名誉教授で日本基督教団五反田教会牧師の山口隆康氏の名前もある。
瀧澤氏のパワハラは全国的に報道されている問題にもかかわらず、理事会や評議会はこれまで具体的な対応を示してこなかった。法人側による対応が絶望的であることから、法人を管轄する宮城県に指導監査を求めざるを得なくなったとみられる。
保護者会は、請願書を石川光次郎県議会議長に提出したほか、同様の内容の要望書を村井嘉浩県知事宛てにも提出。請願審査において関係者を参考人招致することも求めた。