米アカデミー賞受賞俳優トム・ハンクスの息子で、自身も俳優、ミュージシャンとして活躍しているチェット・ハンクスが、10代に「神に触れられた」体験をし、それまでの無神論から大きく変えられた経験を語った。
米人気テレビドラマ「エンパイア〜成功の代償」などに出演しているチェットは最近、ポッドキャスト「IMPAULSIVE Clips」(英語)に出演。共に有名な俳優の両親の元に生まれたものの、自身の悪行のため10代の頃、長期キャンプに送られたことを明かした。
現在30歳のチャットが神の存在を確信したのは、そのキャンプにおいてだった。当時17歳のチャットは、ユタ州の辺境の地で12週間にわたるキャンプ生活を強いられた。両親のやり方に怒りを抱き、文明から遠く離れた生活をする中、当時「無神論者」を自称していたチャットは、「1日がかりのハイキング」で人生の転機を迎えることになる。
「僕は崖の端に座って景色を眺めていました。景色を眺め、高い所から自分がそれまでいた所を見ていました。なぜなら、12週間も砂漠の中で立ち往生しているような状況で、それはもうひどいもので、退屈で、見るものなんか何もなかったからです。でも今は、この山の頂上という高い所から見ているのだと、そんな感じでした」
チャットは、周囲の美しさに圧倒され、360度見渡しても何マイルにもわたって人っ子一人も見えなかったと語った。
「だから、周りを見渡して圧倒されました。神の御手に触れられたような気がしました。それが、神がご自身を僕に明らかにされた瞬間でした。すべての怒り、憎しみ、恨みが反転しました。それらが無限の希望、感謝、平和、愛へと反転したのです」
「それは、まるでコインをひっくり返したような感じです。感情が込み上げ、崖の端に座って泣きました。1時間は泣きました。抑えきれないほどの泣き声で1時間ほど泣きました。止まらないのです。でもそれは、喜びの涙でした。すべての痛みと喜び、あらゆる感情を一度に感じるような涙でした」
チャットは、16歳から24歳まで薬物とアルコールの依存症に苦しんでいたことを告白している。ポッドキャストの司会者は、その時の霊的な体験が薬物による幻覚と似たようなものだったのかを尋ねたが、チャットはまったく違うものだったと語った。
「薬物による幻覚経験も、これにはまったく似ていません。これが、私の霊的な命が生まれた瞬間であり、私が完全に打ちのめされた瞬間でした。『オーケー、いや、そこには何かがある。より高い力が、より高い知性があるんだ』と。なぜなら、その存在が自分の肩をたたいたように感じたからです」
チャットはその後も、薬物やアルコールの依存症からすぐに脱することはできず、24歳になってようやく回復を果たす。
2014年には自身のインスタグラムに、依存症のリハビリを終えた後、薬物やアルコールに手を出さずに50日間過ごせたことを報告。「50日間の『しらふ生活』を達成することができました。正直に言って今が一番幸せです。家族、ファンの皆さんも含め、私を気遣ってくださったすべての人に感謝します」と投稿し、「もし誰かが中毒で苦しんでいるなら、どうぞ手を差し伸べてください。愛とサポートに感謝します。神は本物だ!!!」とつづっていた。
チャットの所属宗教は明確ではないが、その背中には大きな十字架のタトゥーが入っている。一方、ハンクス家は正教を信仰していることで知られている。ロシア政府系メディア「ロシア・ビヨンド」(英語)によると、チャットの母親である女優のリタ・ウィルソンは、ブルガリアとギリシャにルーツがあり、自身は正教徒。トム・ハンクスはリタと再婚する際、正教に改宗しており、結婚式はリタが洗礼を受けた教会で挙げたことを何度も語っているという。2人の子どもは全員、ギリシャの教会で洗礼を受けており、ロサンゼルスにある正教会に通っているという。また、トムは2019年にはギリシャの市民権も取得している。