長年、無神論を公言してきたハリウッド俳優のブラッド・ピット(55)が最近、雑誌のインタビューに答え、無神論は自身の本当の姿ではなく、これまではただ「反発していた」だけだったと話した。
9月20日から公開中の新作SF映画「アド・アストラ」で主演を務めるピットは、米男性誌「GQ」10月号(9月16日掲載、英語)のインタビューで、次のように語った。
「そうですね。いろいろなことがありました。例えば、僕は宗教にしがみついていました。僕はキリスト教を信じる環境の中で育ったのですが、いつも疑問を持っていました。でも、それ(キリスト教の教え)が機能するときもありました。独り立ちした後は、キリスト教から完全に離れてしまい、自分は不可知論者だと言っていました。幾つかのスピリチュアルなことを試してみましたが、しっくりきませんでした。その後、しばらくは無神論者だと言ってきました。反発していたんです。本当はそうではありませんでした。でも、しばらくの間はそのような自分でいました。その後、信じることに戻っていきました。スピリチュアルという言葉は使いたくありませんが、人は皆つながっていると信じています」
米南中部オクラホマ州出身のピットは、南部バプテスト派(プロテスタント)の家庭環境で育ったが、過去のインタビューでは、信仰を否定する発言を繰り返していた。
ドイツのタブロイド日刊新聞「ビルト」(英語)との2009年のインタビューで、神を信じるかと尋ねられたピットは、「いいえ、信じません」と回答。さらに、自身が霊的であるかと尋ねられると、「いいえ、そんなことは絶対ありません。僕はおそらく20パーセントは無神論者で、80パーセントは不可知論者です。(神を)本当に知る人などいるとは思いません。行き着くところに行ったとき、気づくかどうかの問題です。それまでは考えたところで意味がありません」と語っていた。
また米芸能誌「ピープル」(英語)によると、2年後の11年には次のように語っている。
「物事は神の御心の通りになるものだと言われて育ちました。何かうまくいかないことがあると、それは神の計画だったのだと言われました。でも、僕はそれに問題を感じます。これについては話さない方が良いと思います。重苦しくなるから」
そして12年には、米芸能誌「ハリウッド・レポーター」(英語)とのインタビューで、次のように語っている。
「僕はとても宗教的に育てられましたが、宗教とはあまり関係がありません。僕は不可知論と無神論の間を行ったり来たりしています」
今回のGQ誌によるインタビューは、映画「アド・アストラ」の宣伝に乗じて行われた。本作は宇宙を舞台にしたSF映画で、ピットは宇宙飛行士ロイ・マクブライドを演じている。ロイの父クリフォードは、地球外知的生命体の探求に生涯をささげる科学者だったが、生命体の探索中に行方不明となってしまう。父の姿を見て育ち、自身も宇宙で働くことを選んだロイは、やがて父が今も生存していることを知らされる。そして、失踪した父にまつわる真実を解明するために、太陽系を巡る過酷な旅に出る――。
ピットはGQ誌とのインタビューではこのほか、俳優としての30年以上にわたるキャリアを振り返りつつ、「もうずいぶん年を取った」とも告白。「(年を取って)時間の大切さに気づいていくものさ。人間関係の良いことや悪いこと、いろんな経験をして、また勝ち組になったり負け組になったり。でも年を取ると、勝ち負けなんてどうでもよくなる。誰と一緒に時間を過ごすか、どのように時間を過ごすか、今の自分にとってはそういうことの方がもっと大事になってきた」などと語っている。