高齢化、核家族化が進み、お葬式の参列者数の減少が続いています。既に大規模な葬儀はほとんどなく、参列者が20人程度の家族葬が多くなりました。最近では、参列者が数人だけの葬儀や、家族が誰もいない例も増えています。
そうなると、家族葬向けの葬儀会場でも広すぎますし、高価な生花壇の備えも疑問になってきます。以前にも増して、立派な葬儀より、故人を偲び、感謝をささげる小さな「別れの祈り場」が求められるようになっています。
火葬式(直葬)の現実
家族葬より小規模の葬儀は火葬式と呼ばれ、告別式が省略され、遺体の安置場所から直接火葬場に向かいます。火葬炉の前で、宗教者が短い祈りをささげますが、宗教者がいない場合は、葬儀社や火葬場の職員が短く黙祷の時を導きます。
火葬場の環境は地域によって違いますが、多くの火葬場では、火葬炉前の飾り気のない狭い場所で、悲しみを抱えながら、急かされるように別れの時が流れていきます。
多死社会を迎え、火葬場の稼働率が高い現状では、火葬式に質の高い通過儀礼を期待するのは難しいでしょう。告別式を省略したとしても、別れの祈りをささげる落ち着いた場が必要になってきます。
霊安室の現実
多くの場合、召された直後には、遺体の処置と安置場所が必要になります。これらの手配は、通常、葬儀社が24時間体制で行います。最近は、遺体の保存技術が進歩し、空調の完備された所なら、葬儀までの遺体安置は可能です。
しかし、自宅に安置するのは、狭い住居スペースを考慮すると難しいかもしれません。また、霊安室を新たに設けるには、近隣の環境に配慮する必要があり、容易ではありません。
そこで、それぞれの葬儀社は使用可能な安置場所を各地に確保していますが、絶対的にその数が少ないため、遠方に遺体を搬送することが多くなっています。
しかも、安置場所は霊安室ではなく、遺体の冷蔵保存庫だけの場合もあり、葬儀までの間、遺族が会いに行くことも難しくなります。
教会堂に霊安室を設ける
最近、地域住民への宣教手段として「終活」を企画しておられる教会が増えました。多死社会を迎える日本の宣教にとって、エンディングに関わることは大切なことです。
今後、日本宣教を拡大する上で、より実践的で有効な手段として、教会堂に霊安室(遺体安置場所)を設け、地域住民に積極的に使っていただくことをお勧めします。
通常、葬儀社は使用できる霊安室を求めていますので、地域住民がよく利用する葬儀社に遺体安置の協力を申し出るなら、地域の葬送文化を担う第一歩が容易に進むことになります。
もちろん、安置場所を提供するに当たり、葬儀社とさまざまな取り決めが必要になります。教会の立場を明確にし、主体的に地域住民に寄り添えるよう、あらかじめしっかりとした約束を交わすべきでしょう。
教会が提供する霊安室は、現在の日本における安置場所の中で、最も質の高い喜ばれるものになる可能性を秘めています。教会は、召されてから葬儀に至るまで、故人を失った遺族の悲しみを共に担い、心のこもった温かい別れの場を提供することができるからです。
心を込めて寄り添うなら、やがて教会堂が小さな「別れの祈り場」となり、日本人の心を支える新たな通過儀礼を教会が担うことになるでしょう。もちろん、そのことを通して、信仰を持たれる方も増えるに違いありません。
遺族に寄り添って祈りたい
霊安室で過ごす遺族には、さまざまな心の浮き沈みがあります。さまざまな良い思い出とともに、惜別の悲しみや後悔など、つらい気持ちも浮かび上がります。教会は、それらの気持ちを優しく包み込む空間を提供し、遺族と共に祈る時間を共有することができます。
これまで未信者の葬儀について、さまざまな議論があり、いまだ関わることに抵抗を覚えておられる教会が多いかもしれません。しかし、教会が霊安室を通し、同じ弱さを抱える善き隣人として寄り添うなら、神様の大きな祝福が注がれることでしょう。
ブレス・ユア・ホーム(株)は、キリスト教葬儀を通し、多くの未信者や一般の葬儀社と関わってきました。これまでの経験から、宣教拡大を目的に教会堂に霊安室や納骨堂を設け、地域住民に使っていただくことを提案しています。
お気軽に声を掛けてくだされば、詳しいご案内をさせていただきます。広田(電話:080・3645・8107)まで。
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