米国大統領選挙の混乱
11月に行われたアメリカ合衆国の大統領選挙は、投票結果をめぐり、トランプ大統領と民主党の背後にあるディープステートや中国共産党との対立が顕在化する混乱状態に陥り、目の離せない展開になっています。
このことに関して、トランプ大統領を支える米国の福音派を中心とするキリスト教会だけでなく、全世界のキリスト教会が正しい祈りを重ねることができるよう心より願っています。
グローバル化の誘惑
国際金融資本を手中に収めるディープステートや覇権拡大を狙う中国共産党はこれまで、米国の多くの要人を買収し、国境のない世界統一国家を目指すグローバリストとして暗躍してきました。日本への影響も、私たちが直接気付かない分野で拡大しています。
グローバリストたちの考え方は実に単純明快です。彼らは、一部の優秀な人材が備える社会秩序が、国家や地域などの境界を越え、地球規模に拡大していく世界統一国家の実現こそ、人類の平和と共存を達成できる手段と考えています。
このようなグローバル化を目指す考え方は、誰でも容易に陥る危険な誘惑を備えています。特に、多くの富や知識を手中に収めたいと願い、その世界に一歩踏み入れると、グローバル化への道は限りなく正しく思える危険があります。目標達成のために、あらゆる不正な手を尽くすことにもなります。
善悪を知る木の実
聖書の創世記に示される「人類の堕落」は、最初の人アダムとエバが「善悪を知る木の実」を食べることによって始まりました。彼らは、創造主との親しい交わりを失い、自らの考えで善悪を判断し、創造主に頼らず人生を切り開く歩みを始めました。
私たち人類は、このような罪深い性質を受け継いでいますので、優秀な知恵を結集し、天まで届く「バベルの塔」を建て上げることで、世界の繁栄と秩序をもたらすことができると考えてしまうのです。
高慢な思いを結集した「バベルの塔」を建て、そこから世界を見下ろすとき、眼下の人たちに寄り添うことは果てしなく難しくなります。創造主に愛される人たちの、日々の営み、喜び、悲しみ、痛みが伝わってこなくなるのは、火を見るより明らかです。
しかし、罪深い人類にとってグローバル化への誘惑は、さまざまな分野で多くの優秀な人材に「バベルの塔」を建て上げさせ、弱者に寄り添う「神の愛」を置き去りにさせているのです。
キリスト教福音宣教の最大の汚点
かつて、15世紀以降の大航海時代から始まる欧米列強による世界市場の開拓は、キリスト教的な欧米文化を世界中に移植することこそ人類の将来をバラ色に変える手段と考える人々の、極めて利己的なグローバル化への憧れによって進められました。
そして、敬虔(けいけん)な宣教師たちがグローバリストの手先として世界中に遣わされ、多くの人々が信仰と引き換えに、土地、生活習慣、文化遺産、人命などを搾取される植民地支配を経験することになったのです。
日本は、その世界の動きに反発し、江戸時代の鎖国政策から始まり、多くの戦争に巻き込まれて苦難の道をたどり、第二次大戦まで抵抗を重ねました。
戦後、福音宣教はもはやグローバリストの持ち駒ではなくなりましたが、かつて欧米文化の衣を着た福音宣教が、世界の人々を苦しめた植民地支配の先駆けになったことを知り、その反省の上に立つ宣教の姿勢が求められています。
日本人に寄り添う福音宣教
私たちブレス・ユア・ホーム(株)の働きは、日本人にふさわしい福音宣教の手段を探索し、グローバルに展開することを目指しています(第63回参照)。
すべての働きは福音を届けるためのものですが、効率的な宣教手段を開発するたびに、「バベルの塔」を建て上げるグローバル化への誘惑が襲ってきます。
福音宣教は、愛すべき人に寄り添い、それぞれの人にふさわしい善き隣人になることによって拡大します。宣教手段のグローバル化は、良き隣人になるための手段にすぎないことを今一度心に留めたいと思っています。
そのことを社内外に明確に示すため、当社の働きを、一般社団法人「善き隣人バンク」に移行することにしました(次年度より)。グローバル化に伴うリスクは常にありますが、イエス・キリストの歩みに従い、弱さに寄り添う福音宣教の働きを展開したいと願っています。
◇