インドネシア中部のスラウェシ島で11月27日、救世軍の活動拠点や信徒宅が襲撃され、4人が殺害される事件があった。4人のうち3人は斬首され、別の1人は焼き殺されたという。国内のテロ組織が関与しているとみられている。
救世軍の世界本部である万国本営(英語)によると、襲撃されたのは、インドネシア救世軍が中部スラウェシ州シギ県のレンバントンゴア村に設置していた「ルウォノ・レンバントンゴア前哨(ぜんしょう)」。前哨(Outpost)とは、小隊(教会に相当)などが形成される前に設置する救世軍の活動拠点だという。
米迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC、英語)によると、27日午前8時ごろ、まずルウォノ・レンバントンゴア前哨が襲撃を受け、放火された。その後、救世軍の大尉と中尉夫妻(いずれも牧師に相当)、またメンバーの女性1人の計4人が殺害され、信徒宅6軒も放火されたという。ICCによると、レンバントンゴア村は森の中にあり、情報や交通手段が限られた環境にある。
地元の救世軍関係者は警察の捜査に協力し、近隣の村々の警備を強化。インドネシア救世軍司令官のユサク・タンパイ大佐(牧師に相当)は、「冷静さを保ち、しかし警戒と注意を怠らず、希望の力強いメッセージを伝え、互いを力付けるよう祈りの内に団結しましょう」と呼び掛けている。
ICCの東南アジア地域担当マネージャーであるジーナ・ゴー氏は、「ICCは、テロ容疑者によって残忍に殺害されたインドネシアの兄弟姉妹の死を悼みます。私たちはインドネシア政府に対し、テロリストの責任を追及し、裁判にかけるために必要な措置を取るよう強く求めます。このような無分別な行為は、宗教の調和と寛容を促進するインドネシアの国家イデオロギーである『パンチャシラ』を誇るこの国では許されません」と語った。
地元当局は、殺害を免れた住民らの証言などから、スラウェシ島中部を活動拠点とするイスラム過激派のテロ組織「東部インドネシアのムジャヒディン」(MIT)による犯行とみて捜査を進めている。