イエス・キリストが黒人として描かれた「最後の晩餐」が4日から、英中部セントオールバンズの大聖堂で展示される。米国の黒人差別反対運動「ブラック・ライブズ・マター」(BLM=黒人の命も大切)への連帯を示すもの。
展示される絵画は、レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」をモチーフにしたものだが、中央には両手を広げた黒人のイエスが描かれている。英国人女性画家、ローナ・メイ・ワズワースさんの作品。黒人のイエスは、ジャマイカ出身のファッションモデル、タファリ・ハインズさんをモデルに描いたという。
絵画を展示するセントオールバンズ大聖堂(英国国教会)は発表(英語)で、次のように述べ、BLM運動への連帯を表明した。
「セントオールバンズ大聖堂においてわれわれは、すべての人の尊厳が尊ばれ称賛される、強く、正しく、そして公平な社会を作るという変革の協力者として、BLM運動を支持します。それは、黒人の声が聞かれ、黒人の命が大切にされる社会です」
作品を手掛けたワズワースさんは、「この『最後の晩餐』を描くことで、私たちがいかに『表現されたイエス』を見ることに慣れていたかを考えさせられました」と語った。専門家の間では、実際のイエスは中東の人々が持つ外見的特徴を持っていた可能性が高いと指摘されていることに言及し、「それにもかかわらず、欧州の芸術家たちは何世紀にもわたって、伝統的にキリストを自分たちのイメージで描いてきたのです」と語った。
ワズワースさんの「最後の晩餐」は「祈りのインスタレーション」として、セントオールバンズ大聖堂の北翼廊で今月4日から10月末まで展示される。