英国国教会の主教会は24日、同教会の人種差別問題を専門に取り扱う委員会を設置することを決めた。同委の設置により、教会内における人種的平等実現のために「文化的かつ構造的な大変革」を行うとしている。
新たに設置されるのは「大主教立人種差別行動委員会」。米国で5月末、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官により死亡させられた事件の後、同教会では人種差別に関する新たな調査を実施。この数週間、奴隷制度との結び付きやウィンドラッシュ世代に対する人種差別的な態度について謝罪を表明してきた。
ウィンドラッシュ世代とは、第2次世界大戦後、カリブ海諸国などから英国にやって来た約50万人の移民を指す。戦後の労働力不足を補うため、英政府が合法的に入国させた人々だが、移民に対する英政府の近年の強硬政策により不当な扱いを受け、社会問題となった。「ウィンドラッシュの日」の22日には、同教会の主教や司祭らが一斉に、ウィンドラッシュ世代や人種差別問題のために2分間の黙祷をささげた。
新委員会は来年初めにも活動を開始する予定で、専門のタスクフォースが準備作業を担う。主教会は、いかなる人種差別も許さない「ゼロ・トレランス方式」(徹底した不寛容、厳罰主義)による対応を行うとし、同時にこれまでの取り組みが「不十分」であったことを認めた。
主教会は「世界に変化を呼び掛ける上で教会が信頼できる声となるためには、謝罪と嘆きが真の変化につながる迅速な行動を伴っていなければならない」と強調した。
同教会は2月開催の総会でも、ウィンドラッシュ世代が教会内で受けた人種差別的経験に対する謝罪を表明している。同教会トップのカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーは総会で、教会内にいまだに根深く慣習化された人種差別が存在することは「疑いの余地がない」と述べ、改革の必要性を語っていた。
主教会はこの他、同教会が奴隷貿易に加担していたことを謝罪する2006年に発表した公式の謝罪文を、今後も繰り返し表明していくことを決めた。