米グーグル社と英王立芸術院の協力により、レオナルド・ダビンチの傑作「最後の晩餐」が超高解像度で、インターネット上で誰でも無料で見ることができるようになった。原画では損傷により見ることのできない細部や、原画が描かれた壁の改装工事によって失われてしまったイエスの足の部分なども見ることができる。
ダビンチの「最後の晩餐」は、イエス・キリストが十字架につけられる前、12人の弟子たちと共にした最後の晩餐を題材とした作品。イタリア北部ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂の壁に、1495年から48年までの3年がかりで描かれたとされている。幅約9・1メートル、高さ約4・2メートルの巨大な壁画だ。
今回、超高解像度で公開されたのは、このダビンチの「最後の晩餐」の模写であるジャンピエトリーノ(本名:ジョヴァンニ・ピエトロ・リッツォーリ)による作品。ジャンピエトリーノはダビンチの弟子で、「最後の晩餐」の模写は1515~1520年に制作されたと考えられている。実物より若干小さいが、幅約7・8メートル、高さ約3メートルの大きさ。壁画ではなく、キャンバス地に描かれた油彩画で、英王立芸術院が1821年、当時の芸術作品としては破格の600ギニー(当時の英国通貨)で購入した。
原画は、ダビンチがより写実的な描写を追求して、伝統的なフレスコ技法ではなくテンペラ技法を実験的に取り入れて描いたが、これが災いして耐久性の低い壁画となってしまった。また1652年には、原画が飾られている壁の下側に戸口を付ける改装工事が行われ、ちょうど中央のイエスの足の部分が失われてしまっている。
ジャンピエトリーノの模写はこうした損傷が少なく、イエスの足の部分やユダの裏切りを暗示するとされる倒れた塩入れなどもはっきりと見ることができる。
世界80カ国の2千以上の美術館や博物館の作品をアーカイブ化するグーグル社の「グーグル・アーツ&カルチャー」の取り組みの一環。英王立芸術院所有の作品は200以上がアーカイブ化され、「最後の晩餐」を含む20作品が超高解像度で公開されている。