クリスチャントゥデイは2002年の創立以来、多くの皆様に支えられ、5月20日で満18周年を迎えることができました。これまで長きにわたり、ご愛読・ご支援いただき、誠にありがとうございます。創立18周年を記念して、今年は新型コロナウイルスが世界を席巻している状況を踏まえ、「100年に1度のパンデミック、教会は何を問われているのか?」をテーマに企画を用意致しました。コロナサバイバー、牧師、神学校教師、大学教授、政治家、ホームレス支援者など、さまざまな立場の方から寄稿を頂きました。第6回は、ホームレス・生活困窮者の伝道・支援に取り組む超教派のクリスチャン信徒のネットワーク「ココロケア」で副代表を務めておられる岡谷重雄さんの寄稿をお届けします。
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新型コロナウイルス禍におけるココロケアの活動
ココロケアは東京・代々木公園界隈で、ホームレス・生活困窮者の方々と人格的な交わりを通し、伝道・弟子化に加え、物質的なニーズにも対応する超教派のクリスチャン信徒のネットワークです。通常は、毎週土曜日、月曜日に「通路チャペル」、木曜日に聖書研究会をしています。新型コロナウイルス禍においては、感染リスクを下げるために段階的に活動を制限し、緊急事態宣言下では、月曜日の通路チャペルのみを行い、内容も食料が入った袋に聖書のメッセージを書いたトラクトを入れて配るだけの活動となりました。
他方で、現下の状況により仕事を失った方、ネットカフェなど寝泊まりする所がなくなった方など、苦しんでおられる方々は増えており、また、炊き出しをする団体が減ったこともあって、私たちの所に来られる方はいつもの倍になりました。また、経済が落ち込んでいることもあり、私たちに食料を供給してくれていたフードバンクなどの団体にも影響が出、私たち自身で食料などを購入することも増えました。
通常時の通路チャペルでは、スモールグループに分かれて、ボランティアのクリスチャンと参加されている方々とで聖書の内容や人生について分かち合うのですが、「3密」を避けるため、これについては中止せざるを得ませんでした。いつも来られている方々からは、早く以前のようにスモールグループもあり、土曜日の通路チャペルもある状態になってほしいという声があります。
またこの間、ZOOM(ズーム)を使っての報告会と祈り会を持ちました。そして6月6日からは、土曜日の通路チャペルも再開することに決めました。ただし当面は、感染リスクを下げる観点から、通常の礼拝とスモールグループを持つ形態ではなく、食料とトラクトを配布する形態で行う予定です。
「マイチャーチ主義」の見直しと「イエス様の目」
新型コロナウイルス禍において、教会・クリスチャンが何を問われているのか、について思うことは、まず第一に「マイチャーチ主義」を見直すきっかけだと考えています。
新型コロナウイルスにより、私たちの通常の教会活動が失われ、これまで通りの教会ではなくなりました。自分や自分の家族が教会に通い、そこで礼拝するという目に見える形の地域教会が、ある意味活動制限を受けることになりました。疫病が流行するとき、そこには大きな歴史の変化があり、また神の民の在り方も変化してきました。今、私たちは、自分たちがひょっとしてこれまで偶像化していた自分たちの教会観や信仰について、悔い改めに導かれているのではないでしょうか。神様がしみもしわもないキリストの花嫁として、教会を立て上げられるということを、新たな視点で見つめ直すように、この逆境の中で問われているのではないでしょうか。
次に考えさせられているのは、「イエス様の目」についてです。長期にわたる外出自粛の中にあっても、オンラインで礼拝やミーティングができることは本当に感謝なことです。このIT技術のおかげで、移動しなくても交わりに参加することができ、直接会えなくても、オンラインで会えるという恵みにあずかれるようになりました。またこの機会に、海外の友人たちとの交わりがより深くなりました。ひと世紀前に今のような事態が訪れていれば、私たちクリスチャンも恐らく分断され、大きな打撃を受けたことでしょう。
しかし一方で、この恵みにあずかれていない方々がいることに痛みを感じます。例えば、教会に通うお年寄りの中にはITそのものに忌避感を持っている方もおられるでしょう。しかしそれ以上に、経済的に恵まれず、IT機器にアクセスできない方々が大勢います。その方々は交わりの外に置かれてしまっています。否、彼らはもともと別の理由で、教会にさえ歓迎されてこなかったのかもしれません。イエス様の目はそういう方々にも向けられています。イエス様は、善きサマリヤ人の話の最後に「行って、あなたも同じようにしなさい」と仰りました。この声が聞こえた方はぜひ、ココロケアにご連絡ください。
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