新型コロナウイルスの感染拡大を受け、カトリック東京大司教区は25日、今月27日から来月14日まで、公開のミサを原則として中止することを各教会に文書で通知した。「今後1、2週間が感染拡大のスピードを抑えられるかどうかの瀬戸際」とする厚生労働省の専門家会議による24日の見解を引用し、「教会としてもこの重要な2週間にあってはこれまでにない対策を講じる必要があると判断いたしました」と説明した。
特に、期間中の来月1日と8日の主日には、小教区をはじめ、定期的に不特定多数の信徒が参集して主日ミサが行われている施設では、公開のミサを原則として中止する。文書は、来月1日と8日について、東京教区のすべての信徒を対象に、主日のミサにあずかる義務を免除し、それぞれが聖書を朗読し、祈りをささげる時を持つことを勧めている。また、可能であればインターネットでミサを中継できるよう手配し、その場合は中継のミサにあずかって霊的聖体拝領をするよう勧めている。
期間中は週日に行うミサも、ごく小規模な場合を除いて中止する。ただし、結婚式や葬儀は十分な感染対策をとった上で通常通り行うとしている。
東京大司教区の菊地功大司教は文書で、「教会にとって、日々ささげられるべきミサの中止の決断は、容易なことではありません。判断に至った状況の深刻さを、ご理解くださいますように、お願いいたします」と理解を求めた。ミサ中止の決断に至った理由については、東京教区の小教区では観光客を含む不特定多数の人々が集まる規模の大きな教会が少なくないことや、高齢の信徒が増加していることを挙げた。
「『私の記念としてこれを行え』と命じられた主の言葉を思い起こすとき、ミサを中止にするということは、霊的な敗北のように見えてしまいます」とした上で、「だからこそ、この危機に直面している時代には、通常以上にさまざまな祈りをささげなければなりません。ミサの中止は敗北ではなく、祈りの持つ力をあらためて認識し、祈りによって霊的に深めるための機会でもあること、また祈りの力をあらためて認識する機会でもあることを心にとめたいと思います」と呼び掛けた。